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また天津市は、隔年開催する世界経済フォーラムの会合を、
郊外の巨大なコンベンションセンターで開催している。

天津市の開発は、天津・北京・河北省の経済統合をめざす中国政府の取組みの一環として、
中国の政策金融機関である国家開発銀行などによって推進されてきた。
国家開発銀行は、2015年から2017年にかけて、この地域に2・1兆元(約35兆円)を投じてきた。

地方政府がプロジェクトに暗黙の保証を与えることに対して、中央政府の締め付けが厳しくなり、
債務リスク低減を図る全国的な取り組みが進む中で、こうした開発プロジェクトは熱気を失ってしまった。

天津市政府にはコメントを要請したが、回答は得られていない。

<暗い展望>

債務不履行リスクがあると指摘された天津の国営企業2社は態勢を立て直しつつあるようだ。
ロイターが閲覧した文書によれば、天津市房地産は5月に期限を迎えた融資を返済し、
もう一方は6月に返済を行う予定とされている。両社はコメント要請に応じなかった。

だが投資家は依然として天津の成長展望について懸念している。

第1・四半期に天津が報告した経済成長率は1.9%だったが、
これは省規模の地域としては最低水準に属しており、歳入は17%も落ち込んでいる。
固定資産投資は25.6%の急降下となった。

天津市南部の海河の屈曲部に広がる、浜海新区内の金融街・于家堡(ユージアプ)を訪れた際にも、
同市が抱える困難は明らかだった。

この地区の主軸と目されていた「ローズロック国際金融センター」は、
2011年に着工されたにもかかわらず、まだ建設されていなかった。
未開発の用地は現在バラ園になっている。