中国「一帯一路」構想、パキスタンで暗雲
https://jp.wsj.com/articles/SB12725973517339393911604584365842155222978
中国による貸し出しを伴う不透明な取引で壁が露呈

米国の強大な影響力に取って代わり、世界の地政学的地図を塗り替えようとする
中国にとって、パキスタン初の地下鉄路線「オレンジライン」の建設は、その勝利
への第一歩を誇示するはずだった。

中国国営企業が資金を融通し、建設も手掛けるオレンジラインは、同国北東部の
都市ラホールを高架で走る路線。中国はパキスタンで計画する
総額620億ドル(約6兆9000億円)のインフラ計画の第一弾として、
建設費用20億ドルを投じて空調完備の地下鉄を開通させるつもりだ。
中国が世界的に展開するインフラ攻勢のショーケースになることが期待された。
だが実際は、中国の目指す現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に、
想定外のつまずきが生じていることを示す象徴的事例となった。

中国による計画開始から3年、パキスタンは債務危機に近づいている。
オレンジラインのような大規模事業のために中国からのローンや輸入が
急増したことが一因だ。パキスタン当局はオレンジラインを運営するには
政府の補助金が必要になると話す。

米国が戦後、主として欧州に援助資金を与えたのに対し、中国は多くの場合、
自国の建設業者に限定するなどの不透明な条件をつけた融資を拡大している。
パキスタンは今や、対中債務の増大による財政や政治への副次的影響に
悩まされる国々の1つとなった。

今年の秋口にはこうした問題が顕在化する見通しだ。パキスタンの新政権は
国際通貨基金(IMF)に2013年以来となる緊急支援を要請する公算が大きい。