押し黙ったハリウッドの男たち

実は当初は、大物女優らが被害を告白することはなかった。なぜなら現在活躍する大物俳優・女優ともに、
ハリウッドの重鎮ともいえるワインスタインの手でスターダムを駆け上がった者が多いからだ。
何か事件が起きるとSNSでメッセージを発するセレブが目につくが、今回の事件について、特にハリウッド俳優は
沈黙を守っていた。自分が世話になったプロデューサーの悪行を知っていたにも関わらず黙っていたのか、という
世間の疑問もあるからだ。ただ、10月10日にはアンジェリーナ・ジョリーやグウィネス・パルトローという2人の大物女優
も過去に被害に遭ったことをカミングアウトするなど、周囲の圧力を感じてか少数だが俳優や、かつてワインスタイン
と提携していたディズニーが動きを見せた。

キャリアの中で何度もワインスタインとタッグを組んできたマット・デイモン。脚本と主演した1997年公開の
映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で製作を手掛けたのはワインスタインのミラマックス社だった。
デイモンは、「有名になる前から私はこの種の行動を看過してきたが、今は4人の娘の父親。これは性搾取
のようなものだ」と10日、ハリウッド情報サイト「デッドライン」に語った。しかし、ワインスタインの行為に関して
は「こういった行為が世界中で起こっていることは分かっている。ただ、ワインスタインと一緒に映画を5?6本
作ったが、こういう状況は見たことがない」とシラを切っている。

ワインスタインと長年仕事を共にしている、マーティン・スコセッシ監督、クエンティン・タランティーノ監督、
俳優のラッセル・クロウやブラッドリー・クーパーなどは、2004年にニューヨークタイムズの記者シャロン・ワックスマン
がワインスタインのセクハラを報道しようとした際に圧力をかけて抑え込んだとされている。