涙目になりながら手で口を抑え、ただ震えてスクリーンを見守るしかないほど、
おそろしい映画だ。
不倫恋愛物語が、やがて泥沼の悲劇になっていくところまではTVドラマ版と同じ内容だ。
しかしこの映画版では、そこから何段階もの新しい境地に突入し、
観客に未体験のおそろしい感覚を味わわせてくれる。
観客が見たいのは、自分自身は足を踏み入れることを躊躇するような背徳の世界と、
その果てにある狂気の姿なのである。
昼顔はそれを突きつけられる、驚愕の日本映画だ。