―クラインの原作にはあなたや、あなたの作品に対するオマージュがたくさん書かれています。それについてはどう思いましたか。

<スピルバーグ> 初めて原作を読んだとき
「これはないだろう。アーニーは10ページごとに僕を登場させている。僕が80年代に撮った映画を!」という感じだった。そして、
「これは他の監督に任せた方がいいんじゃないか?自分ではできない」と考えた。でも、
「いや、待てよ。他の監督が原作に忠実に、僕の作品のリファレンスをてんこ盛りにしたらどうする? 凄く恥ずかしいじゃないか!」と思った。
で、最終的に、
「だったら僕が監督した方がいい。自分でコントロールできるから」ということになったんだ。それでも自作を全部削る訳にも行かず、いくつか残したけどね。

(SFマガジン2018年6月号・P102)