ウチにある「チワワちゃん」初版を読み返した。
岡崎京子のあとがきの日付が1996年3月31日。そのわずか1ヶ月と20日後、彼女は事故に遭い、
意識不明の状態の7月に初版が出ていたのだな。要は事故前の本人が最後にまとめた短編集ってこと。
でも、当時は長編の「リバーズ・エッジ」以降、短編集ばかり出していた時期なので、
この本もそんな中の一冊という感じだったな。

改めて読み、原作と比較すると600万円と浅野忠信以外、ストーリーは基本的に原作に忠実に作っているわけだが、
圧倒的な違いは人種の違い。なんだろうあのパリピで描いてしまった違和感は。

チワワは原作でも空っぽだけど、原作の他の子たちは、お金ないけどサブカルにどっぷり浸かっていて、
きっとトルーマン・カポーティーとか浅田彰とか読み、モリッシーとか聞いちゃう連中なんだよ。
そんな岡崎作品に共通するモノはそれなりに知ってるし、色々考えてるけど屈折している部分がまったく感じられない。
映画の消費文化の飼われたロクに本も読まない馬鹿みたいな描き方は全然共感出来ないのだよなあ。

根本的に岡崎京子の世界からは文化的にかけ離れた作品だと思った。