ラストムービー
デニス・ホッパーがクレジットされている映画は片っぱしからレンタルしていた時期があった。
その中にはもちろん今も見続ける名作もあれば、どうしようもない駄作もあったが「デニス・ホッパーが出てる」ということが私にとって絶対の価値だった。
そこにはハリウッド大作の悪役のイメージの延長にある日本のCM(セリカとツムラの「アヒルちゃん」)も加えたい。
彼が人生のどの時期に、何に出演していたのかが重要だからだ。
『狂気の旅路』のニック・エベリング監督は私同様、遅れてきた世代として憧れを隠さない。映画にはそんな想いがダダ漏れで『トゥルー・ロマンス』の芝居をきっかけに魅了されたという同世代の監督に共感する。
そして『ラストムービー』の復活。デニス・ホッパーを愛する日本でも1988年の公開以降、VHSリリースのみという呪われた作品ではあるが、今見返すとこの呪いは制作者たちがかけたのではないかと思えるほどに確信的だ。
そしてまた虚実を扱う映画は全て本作の影響下にあったのではないかと思えるほどに革命的だった。
今回の上映をきっかけにデニス・ホッパーが改めて発見されますように。
松江哲明
映画監督