メインストーリーが弱いからただのおふざけコントになってる。
これまでの作品は「成仏したい落ち武者」、「だまされて演じてる役者」、「つぶれそうな宇宙のハンバーガーショップ」のように、
一応観客が惹かれるメインストーリーがあって、その中にコメディーがあったから笑えた。

でもこの作品は「記憶喪失になった首相がいい首相としてやり直す」っていうテーマはいいんだけど、
なんでその必要があるかっていう説得力が全くないんだよね。

記憶喪失になったのなら引退すればいいじゃん。金もあるだろうし、仲間もいるだろうし、生活に困らないでしょ?
やり直したかったら、そこを丁寧に描かなきゃ説得力がないんだよ。
いい人そうな中井貴一が「僕って、こんなにひどい首相だったんですか?生まれ変わります、キリッ!」なんて言ったって。

コメディって、チャップリンにしても、マルクス兄弟にしても、ドリフにしても、主人公の背景やテーマがはっきりしてるから、
その中のエピソードで笑えるんじゃないの?

冒頭のとってつけたドタバタ劇で「あ、失敗した」と思った。観終わってやっぱり「失敗した」と思った。
監督は政治が分かってないんじゃなくて、コメディが分かってない。やめた方がいい。