>>876
そのレイモンドの意思を偽装する手紙を「ダー子」が作らせている。
それはまるで、レイモンドがはじめから優秀な当主に相応しいものに継がせたいと考えていたかのように。

さて、その意思はあの日の酒場で、レイモンドがダー子の会話を聞くところから始まる。
人は超常的な現象や偶然には、何らかの意味がある、と考えがかち。
ユングがシンクロニシティ(潜在意識に訴えかける意味のある偶然の一致)では、ある日の魚に関するユング自身の経験を取り上げている。
ユングはまず昼食に魚を食べる。食べながら誰かが「4月の魚」(エイプリルフール)の習慣を話す。その午前中に彼は「人間は地下から来た。
わけの分からない魚である」と書いていた。午後に数カ月会っていなかった以前の患者が来て、その間に描いた大変印象的な魚の絵を見せる。
夕方には,魚のような怪物が描かれている刺繍を見せてもらう。次の日の朝、数年前の患者が来て夢の報告をする。その夢は、彼女が
湖の岸に立っていると大きな魚が見え、その魚は彼女の方にまっすぐに泳いできて、彼女の足の上にいわば「上陸」した、というものである。
ユングはこのところ、魚シンボルの歴史的な研究に携わっていた。
しかし、それを知っていたのは、ここに登場した人物のうち、たったひとりユング自身だけであった。

レイモンドは普段、あの酒場にいるか?あの金持ちが。いや、遠山金四郎景元のごとくお忍びの習慣があったろうか。
ダー子たちはそれを知って会話を聞かせるためにいた?いや、刷り込みが弱い。後継者探しを始める動機の根本だ。
事態が大きすぎて(架空の者に巨額の富と事業を継がせる)、その動機が形成されるためのインセプションとしては弱すぎる。
何度も繰り返し繰り返し、またはもっと深層的な構造ならば、規模の大きな動機形成も可能性あるかもしれない(インセプション参照)。

で、あれば動機形成はレイモンドの側にあった。ダー子は手段を提示した。一番ありそうなパターン。
じゃあ、コックリ(テーブルターニング)は偶然そこにいたか?または
さて、レイモンドの動機は優秀な後継者探しであったか、コックリ(のような資質を持った人)に継がせたいであったか?