「流浪の月」22年上半期屈指の出来ばえ!広瀬すず、松坂桃李、横浜流星の“卓抜ポイント”
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 冒頭の少女・更紗の15年後を広瀬すずが演じた。あるわだかまりを抱えながら、何とか周囲と折り合いをつけようとしている彼女の表情の変化が素晴らしい。愛想笑い、普段の会話時、そして沈黙。幾多の表情に過去の出来事がへばりつくかのようだ。

 共同生活している男性との絡みのシーンが痛々しい。男性は何の屈託もなく、日常的な性の営みをしているつもりだが、更紗は違う。彼女の苦しそうな日々が、二人の肉体の交わりから、ひしひしと伝わってくる。この描写が作品のテーマとも深くかかわる。彼女に何があるのか。何が起こっているのか。

 広瀬は内面からにじみ出てくるかのような感情の微細なありようを、表情のみならず体全体で表現する。まさに圧巻であった。