日本では2001年11月17日に、今はなきミニシアター「渋谷シネマライズ」1館限定で公開され、『アメリ』を待ち焦がれていた人々が朝からスペイン坂の上から井の頭通りまで並び、「観たいのに観られない!」と悲鳴があがるほどの騒ぎに。テレビのワイドショーや男性週刊誌もでも取り上げられ社会現象と化し北は北海道の旭川、南は沖縄・那覇まで47都道府県、全160館の映画館で上映(再上映含む)される、ミニシアター系映画としては異例の拡大公開を記録しました。

いたずら好きなアメリを表情豊かに演じたのは、当時、映画デビューしたばかりのオドレイ・トトゥ。ジュネ監督は脚本段階で別の俳優を主演に想定しましたが、スケジュールの都合で断念。新たにキャスティングを始めたところ、『エステサロン/ヴィ-ナス・ビューティー』(99年)のポスターでトトゥを発見し、即採用となったといいます。トトゥはキュートな笑顔と確かな演技力が相まって本作で大ブレイク。来日時にはとぼけたコメントで取材陣を笑わせるなど、アメリのような無邪気さで幸せを振りまき、彼女のいない『アメリ』は想像できないほどのはまり役と絶賛されました。