【フランス】フューチャー・ウォーズ-Le visiteur du futur-
フューチャー・ウォーズ
想像以上にコメディ要素が強く冒頭の青ボタン黄ボタンのくだりから笑えるシーンが多々あり楽しかった。このくだらなさはフランスコメディの良さで、フィリップ・ラショーの作品あたりが好きな人には確実に楽しめる要素有り。
世界観や作風なんかはバイオハザードっぽかったり、バック・トゥ・ザ・フューチャー、ターミネーターっぽかったり…でも安っぽさが良い意味で目立つ変な映画作品だった。
何度も見たい作品ではないけど、期待値低く見る分には楽しめる作品ではあった。 フランス産のSF。コメディもスパイス。
初手の黄色いボタンと青いボタンで笑わかすが、風刺が効いてる(メルトダウンとかこの部分は観る人選ぶかな)。
帝国のお猿さんの惑星にいまいち食指が動かなくて同じSFでこちらを選択。脱線しますが、お猿さんの惑星はニ作目(1970年公開の続編です)までで充分に一作目に至るシークエンスを残していて自分の中ではその2作で完結してます。(別でレビューすべきですね😑)
で、戻して本作。
低予算(多分)ながらになかなかだと思います。
ちゃんと作り込んでチープ感はないです。
いわゆるタイムトラベル物。
そしてその最後の選択にホロリ🥹
「何者でもない」
お父さんとしては。
最後はパラドクス的に?ですが、雰囲気良く終わったので気にしない(というか辻褄合ってるような気がする脚本?)。
本日公開で上映館数わずか8館…ですが観て損はないと思います。 だからほぼいないって強迫観念があることを一方的にブなんだよな。 邦題の「フューチャー・ウォーズ」は未来の戦争みたいで、激しいアクションものを想像させるが、実際の中身はSFコメディである。原題の直訳を少しひねった「未来のお尋ね者」がよかったとおもう。
流石に哲学の国フランスの映画で、ストーリーは思考実験みたいだ。タイムパラドックスという単語が一般名詞みたいに扱われるが、知らない人もいると思う。簡単な例を出すと、過去を悔いた人間がタイムマシンで過去に戻って自分を殺す。しかし過去の自分を殺したら現在の自分は存在しないから、殺せないことになる。そんな感じの矛盾がタイムパラドックスだ。SFではおなじみの言葉である。
本作品の製作陣は、よほど原発が嫌いらしい。メイドインチャイナの原発が登場する。取扱説明書は広東語で書かれていて、中国の原発専門家は北京語しか理解できない。ちなみに広東語で「無問題」(モーマンタイ)は北京語(普通話)では「没問題」(メイウェンティ)と言う。ジャッキー・チェンが映画で話しているのは広東語だ。香港の言葉である。
知り合いの中国人で北京や上海出身の人は、広東語はわからないと言う。しかし香港の人は北京語が理解できる。東京の人は訛のきつい方言が理解できないが、地方の人は東京弁が理解できるのと同じだ。北京語と広東語の違いを理解しているところをみると、製作陣は原発は嫌いだが、中国のことはさほど嫌いではないようだ。欧米で活躍する中国人はたいてい広東語を話すから、取説が広東語なのも頷ける。
笑えるシーンが多い作品だが、人類の未来についてのさりげない、しかし真面目な示唆がふたつある。ひとつは、過去の人間のひとりの行動を変えても、悲惨な未来になるのは変わりがないということ。誰かが代わりに未来を壊す役割を果たす訳だ。未来を変えるには、社会構造やコンセンサスを変える必要がある。これはかなり重要な示唆だと思う。
もうひとつは、ロボットについてだ。悲惨な未来に存在する人間は、すでに死んでいる存在である。つまりゾンビだ。ということは、健全に存在しているように見えるものは、人間ではないということである。未来では、機械が人類や地球を憂うのだ。このあたり、実にエスプリが効いている。