このピアニストのCDは2枚しか所有していない。
1枚はショパンは「これ1曲あれば私は十分(現在はこれにルービンシュタインのバラード1番が加わった)」と常々思っていた
『ノクターン20番嬰ハ短調』

探しに探し、secondベスト盤が「ピリス盤」

他はアラウが限界でバレンボイムも最後の最後でアシュケナージに堕してしまう。
ピリス盤もそうだが、中間部の最終音はビアニッシモ、これが続く主題の儚くも美しい旋律を際立たせるのだ。
アリス・紗良・オット盤は、このピアニッシモを、心を耳と化して聴かなければ聞き漏らす。ここに私は10代の少女の恋の告白を聴く。
「え?」と聞き返しても二度とは聞けぬ。

もう1枚は、「チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番」。
これは録音が頗る良いのだ。

モニターGoldはその録音の良さを心ゆくまで堪能させてくれる。

音を聞くには俗曲に限る。
それが私の持論である。