>11倍音と7倍音の共鳴とか言っていけば13倍音と14倍音の共鳴とかなんでもありありということになり、
少しぐらい音程がずれてもどれかとは共鳴するといえよう。

11倍音と7倍音や13倍音と14倍音が共鳴するわけないだろう。
たぶんヴェンゲローフ君は気づいていないだろうが、G線開放の5倍音にあたるHはE線Gから純正3度にあたり、そこを弾くとG線と共鳴し
良く響く。E線開放から完全5度のHはキラキラする。これは共鳴が最大になる点が一か所に収束する。
同様に、E線3ポジ4指のDはG線開放の6倍音とD線開放の4倍音に同時に当たり、大変よく響く。これも一か所に収束する。
7倍音との共鳴が問題になりうるのは、G線開放の7倍音にあたるE線ハイポジのFで、7倍音は一般にだいぶ低いので、G線7倍音との
共鳴で音程を取ろうとすると音程が低くなってしまう。が、Eとの半音を狭く取っただけにも聴こえるから、動きによってはあまり気に
ならない。
その他、隣の開放弦とピッタリオクターブ、ピッタリ純正長6度、ピッタリ純正短6度、ピッタリ完全5度、ピッタリ完全4度、
ピッタリ純正長3度、ピッタリ純正短3度、ピッタリ長2度の関係になっている時も、大なり小なり共鳴が発生する。
先ほどのFは、A線開放の短6度+オクターブ上であるので、さっきの「G線開放の7倍音」のFの上に「A線開放の純正短6度+OCT」で
共鳴する良く響くポイントがある。同様に、この音はD線開放の純正短3度+2オクターブの関係にもなっているから、先ほどのG線開放の
7倍音に当たる音よりも共鳴が大きく、響き、「当たった」と感じやすい。が、このFはピタゴラス音律のFよりは高いので、ここよりわずかに
低く取った方がいい音形もある。こういう話が、大先生の教える理論から導き出せるし、大先生が依拠しているクリスティーネ・へマンの
「弦楽器のイントネーション」の基本的な問題意識だし、実際にヴァイオリンで検証することもできる。

音が高いからつい「高次倍音」とか書いてしまうが、実際のところ問題になりうるのはいいところ8倍音までか。
G線開放の8倍音が、すでにト音譜表の上の加線を5本必要とするGである。