メストが 2002/2003 シーズンからクリーヴランド管を務め出してから変わったことは、大きく音を鳴らす都会的なサウンドへと変化してしまったこと。
ドホナーニですらあまり変化しなかったのに。
この二人は、チューリヒ歌劇場で接点はあるけど チューリヒではそんなに大きな音量は出していなかった。小屋が小さいから出せない。
メストの(オケに対する)大音量化が始まったのは、ダニエレ・ガッティにチューリヒを譲ってから。
メストがチューリヒ歌劇場就任当初のチャイコフスキー”エヴゲニー・オネーギン”。フランス物のマスネ”ウェルテル”は、まだ掌握できていないから”合奏を巧みに上手(じょうず)に上手(うま)く捌いた”という演奏です。
音色の艶がないのが特徴だったの。それでも他の先輩指揮者ラルフ・ワイケルト、長老フェルディナント・ライトナーとは違った。メストが上手投げ。(アーノンクール、サンティには完ぺきに負ける)
やはりクリーヴランドに行くようになってから変身。
突然ウィーン国立歌劇場の”トリスタン”でティーレマンの代わりに突然起用されてから、”指輪4部作”通し上演を重ねて/初めてウィーンの”パルジファル”を1公演だけ振ったときからさすがに様子が違ってきた。

2010年秋の小澤征爾降板/代打のサロネンも降板した メスト/VPO日本公演で変容したメストのオーケストラ・サウンド。あれは、ついていけなかった。
「なんて、都会的な響きなの。」