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この6月まで、世界最高峰のベルリン・フィルの首席指揮者兼芸術監督を、
16年にわたって務め上げたサイモン・ラトル(63)。
そんな巨匠がいま日本に激怒し、欧米では大騒ぎになっている。そこには、あの女史の影も見え隠れして。

「彼等はみな、日本音楽財団の楽器貸与委員会のメンバー。
委員長のラトルは6月下旬、財団宛てに“日本音楽財団の貸与委員会から塩見和子さんが退任されたことを知り、私はただちに当委員会の委員長を辞任します。
大きな悲しみと苛立ちを覚えます”とメールしています。ほかのメンバーもすぐ同調しました」

説明が必要だろう。
日本音楽財団は、かつては日本船舶振興会と呼ばれた日本財団系列の財団。
ストラディヴァリウスを中心に、20挺余りの歴史的弦楽器を所有し、その資産額は計100億円近いという。
で、それら名器をすぐれた演奏家に貸与することこそ日本音楽財団の事業で、貸すに値する演奏家を選ぶのが楽器貸与委員会である。

 一方、「塩見和子さん」とは、日本における同時通訳の草分けで、サザビーズ・ジャパン社長をへて、日本音楽財団の理事長、そして会長になった人物。

「弦楽器が高くて演奏家が苦労しているから支援してはどうか、と提案したのが、そもそも塩見さんです。

だけど闇雲には貸せないから、貸す人を選ぶ国際的な貸与委員会が要る。

彼女は英語が完璧だから、指揮者のロリン・マゼールを口説いて委員長に据えましたが、4年前に亡くなりラトルに引き継いでもらった。

日本マネーを日本人だけに使うのではなく、世界の優れた若手に広く楽器を貸与してきて、欧米では“日本が海外に誇れる唯一の財団”という声をよく聞きます」(同)