あなた方も容易に想像できるだろうが、
主人の奴隷に対する態度より、奴隷同士
のほうがはるかに暴力的だ。奴隷たちは
常に地位の奪い合いをしていて、どっち
が上だ下だと口論し、些細なことで侮辱
されたと騒いでけんかをするし、それが
単なるいいがかりであることも少なくな
い。だから下の者を痛めつけてばかりい
る奴隷には目を光らせ、ある種の圧力を
かけることで自制を促さなければならな
い。さもないと下の者たちがその奴隷の
恐怖支配に怯えることになりかねず、や
がて暴力を振るわれて、奴隷として役に
立たなくなってしまう。これもまた、同
じ部族の奴隷をあまり多く置かないほう
がいい理由の一つである。どうやら出身
地が同じだと互いに細かい違いが気にな
るようで、ちょっとしたことですぐ口論
や喧嘩になる。