>>607
成毛は常日頃から「ギターの練習には真空管アンプを使わないといけない」と主張しているが、
これは永年ギター教室で大勢の生徒に教えてきた経験から来たものである。
何故か初心者がトランジスタ・アンプで練習しているとピッキングの悪い癖がついて、いくら練習しても上達しなくなるようであった。
しかし中には真空管アンプを使っているのにピッキングが上達しない者もいたので又色々調べてみた所、一口に「真空管アンプ」と言ってもオールチューブ (全段真空管型)とハイブリッド(混成型)とが有り、
ハイブリッド(混成型)には更にプリアンプにトランジスタ、メインアンプに真空管を使った物と、
逆にプリアンプに真空管、メインアンプにトランジスタを使った物とがある。
そしてプリアンプにトランジスタを使った物で練習すると、メインアンプが真空管でもピッキングは上達しない事が分かった。
これらの経験から成毛は「初心者がギターを練習する時はプリアンプに真空管を使ったギターアンプで練習しないとピッキングが上達しない」という信念を持つようになったのである。
しかし、'80年代になると国産のギターアンプはソリッドステート(トランジスタ)アンプばかりになり、
真空管アンプはマーシャルとかフェンダーとか、高価で高校生には手が届かないような物しか無くなってしまった。
「これではアマチュアにピッキングを教えられない」と困っていた成毛が元神田商会の鈴木潤氏(現音響商会社長)にこの話をすると、
鈴木氏は「東京サウンドだったら安くていい真空管アンプを作るのがうまいから、東京サウンドに頼んでみたらどうですか?」と言った。