摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実であることが要求されており、
事実を摘示するための手段には特に制限がなく、
その事実の内容の真偽を問わない(信用毀損罪の場合は虚偽の事実でなければならない)。
つまり、たとえ真実の公表であっても、発言内容が真実であるというだけでは直ちには免責されず、
後述する真実性の証明による免責の問題となる。
また、公知の事実であるか非公知の事実であるかを問わない。
「公然と事実を摘示」すれば成立する罪だからである(大判大正5年12月13日刑録22輯1822頁)。
公知、非公知の差は情状の考慮事由となる。事実を摘示せずに、
人に対する侮辱的価値判断を表示した場合は、侮辱罪の問題となる。