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【雪の】カイヤ・サーリアホ【女王】

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2007/02/06(火) 22:50:57ID:jcrsUxFk
リヒト・ボーゲンいいよね
00047分74秒
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2007/02/07(水) 00:27:53ID:mSYHjumV
157  ◆30rKs56MaE  [sage] 2006/03/11(土) 07:57:07 9xCOPh5g
    ではまず昨日のコンフェランスのレポを。
    カイヤ・サーリアホと、技術士で先日のFranceMusiquesのLe bel aujourd'huiにも出ていた
    ジルベール・ヌーノとの二重レクチャーという形で行われた。
    サル・ストラヴィンスキーの大会議室がほぼ満席。50人以上はいたと思う。

    まずサーリアホの話から。新作の2度目のオペラ「アドリアナ・マーテル」について。
    書き始めたのは4年前からで、4人のソリストがいる。
    スタイルは1作目(遥かな愛)とはとても異なる。前作と同じく、アーミン・マーロフがテクストを担当。
    最初はお腹にいる赤ちゃんの心臓の鼓動をエコーで見たことに非常に感動を受けたが、
    その後はアーミンのアイデアによって当初の予定より大分暴力的な内容になり、
    アフリカの戦争の暴力を題材として扱うことに決めた。これが出発点となった。
    登場人物は、アドリアナという暴力を被っている女性、そしてその妹、
    サルコという男、ジョナスというアリアナの息子がいる。
    一度の休憩を挟んで、舞台は17年後に移る。ジョナスは青年に成長している。
    サルコは自分の故郷へ帰り、そこで暴力を目撃する。
    ・・・これ以上はオペラを観るまで話さないほうがいいわね(と言って一同笑い)

    歌のテクニックについては、レゾナンスを用いることは今回はしなかった。
    というのは台本がとても暗く暴力的だからである。
    合唱の空間配置については、ジルベールとコラボレーションをし、エレクトロアコースティックを用いた。
    オペラバスティーユはとても広い劇場であるため、空間配置を綿密に考えた。
    実際に空間配置を確かめ、計画を変更した。

    ジルベール・ヌーノ:エレクトロニクスは本当にクラシックなテクニックを用いている。
    サーリアホ:合唱は役柄を持っていない。本当にオーケストレーションの位置パートを務める。
    合唱は会場の周りで歌われる。(#これは最初のオペラ「遥かな愛」でも同じ)

    ここでジルベールが舞台の空間配置としてMax/MSP+Jitterのパッチを紹介する。
    Maxの映像用拡張であるJitterについては僕はまだ全く知らないが、3Dモデリングを使って
    多角形の頂点を各スピーカー配置と見なし、いろいろ回転して見せていた。
    一部の練習風景の録音も聴け、いかにもサーリアホらしい反復語法だったのだが、
    ピアノと合唱での練習であり、オーケストラの一部しかなぞっていないとのこと。
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2007/02/07(水) 00:28:27ID:mSYHjumV
 

158 ◆30rKs56MaE [sage] 2006/03/11(土) 07:58:09 9xCOPh5g
    ここで一通りの説明が終わって質問コーナーになり、真っ先に研究員のサムが質問。
    知らない誰か1名を除いてあとの全員が研究員だったのには興味深い。

    サム:空間配置はあなた(サーリアホ)自身が楽譜に書き込んだのか?
    サーリアホ:いいえ。私は空間配置は指定せず、ジルベールが担当した。

    他の誰か:あなたは(外国人であるにもかかわらず)フランス語でオペラを書くことについて
    どう思っているのか。また他の言葉でオペラを書くつもりはあるか。
    (#サーリアホのフランス語は訛りがあって語彙もあまり幅広くない模様。)
    サーリアホ:フランス語のテキストはアーミンが書いているし、私が話すよりも
    ずっと素晴らしいフランス語を書いている。私はそのテクストの韻律に沿って
    作曲しているので、今のところ他の言語、例えばフィンランド語や英語などでオペラを
    書くかどうかという質問には答えられない。

    ディラーラ:今度のオペラにおいて、各配役ごとに異なる音楽が配置されるのか?
    サーリアホ:「遥かな愛」でもそのような形式を取った通り、今回もそうしている。

    ロレンツォ:時間軸、繰り返しの問題についてはどう思っているか。
    サーリアホ:繰り返しはそれらの際を聞き取るための私の音楽言語であり、ポジティフに捉えている。

    ◆30rKs56MaE:あなたの曲は前々から好きで今までたくさんの曲を聞いているが、
    例えば80年代初頭の「眩惑」や「光の弧」の頃から近作まで、あなたの曲にはその全曲において
    一つの大きな和音の構造が見られる。今回のオペラではそれを使っているか、
    またその和音をどのように決めたのか。
    サーリアホ:和音は私はいつも直感で決めている。複雑な計算式を用いたりということはしていない。
    確かに近作の私の曲の和音構造は80年代に比べて単純化してきているが、今回もバスティーユが
    あまりに大きいため、各奏者ごとが微分音などの複雑な和音を聞き取ることは不可能だと
    考えている。だから微分音は用いていないが、グリッサンドとして現れることはある。


    以上でコンフェランスが終了。ディラーラが真っ先にサーリアホに駆け寄って挨拶し、
    ゲネプロを見たいと懇願。どうやら我々研究員の希望者には特別に見せてくれるらしい。
    僕はその次に挨拶し、「あなたの曲を見つけて以来8年間、お会いできることが夢でしたっ!!!」と
    アイドルのサイン会でもそんな発言はしないであろう(行ったことはないが)ベタな賛辞を披露。
    「そういってもらえて嬉しいわ」と握手してもらえたので感激し、あとで泣いたwwwww
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2007/02/07(水) 00:30:07ID:mSYHjumV
172  ◆30rKs56MaE  [sage] 2006/03/12(日) 08:15:09 XERKr+UQ
    >>167
    10月まで。それまでは内部情報を書き込める。と言っても漏洩にならない程度に。
    >>168
    来年は日本人がいないそうだが、再来年はぜひ冗談抜きにこの板から
    次のIRCAMiteが出てくれると嬉しいのだが。応募方法は>>2に書いておいた。

    さて今日はサーリアホの「遥かな愛」の再演があった。シャトレ座で演奏会形式。
    なんと改訂稿だった。第3幕が随分にぎやかになり、しかも休憩付き。
    現代オペラは2時間休憩無しでぶっ通すのが多いと思うが、休憩を入れたほうがありがたい。
    前のヴァージョンでは僕の周りには第3幕は退屈という感想が多かったと思うが、
    急に合唱が手拍子つきで、中世の世俗音楽風の旋律を歌いだす。
    そういえば昔タワレコでもらった中世音楽のサンプルCDの中の大航海時代の音楽というのが
    大体こんな感じだったと思うが、中世の船旅ということでそのような旋律を取り入れたのだろうか。
    全体として調性要素がますます濃くなったが、確かにヴァラエティにはより富むだろう。
    スクリーンに映像を映していたが、これはいただけなかった。
    エロゲ主題歌のプロモムービーじゃあるまいし、静止画を波状エフェクトで動かす簡易動画で、
    しかもかなりブロックノイズが目立ち、とても長時間凝視できる代物ではなかった。
    元素材も中世絵画、花、空、宇宙といったいかにもな素材ばかりで、しかも悪いことに
    一部ネウマ譜の楽譜が出てくる。中世風の旋律を歌うところでそれを映したら過度に説明的過ぎるし、
    ネウマ譜を一部知っている人にとっては、サーリアホの曲を聞きながら別の曲の楽譜を映されては
    ただ混乱するばかりだ。大抵の人はネウマ譜は読めないだろうから雰囲気だけを伝えたかったのだろうけど。
    IRCAMの仲間と一緒に来ていたので、休憩時間にミキサーテーブルのジルベール・ヌーノの所へ行って、
    パッチをちょっと見せてもらった。もちろん触れるのは厳禁だからプリンシパルが動いている画面を
    眺めただけで内部構造がどうなっているのかはわからないが、大変興味深かった。
    なお映像は彼らの担当ではなく、下の階で操作していたらしい。だから彼らは映像のトリックは
    知らなかったそうだ。Jitterかどうか質問してみたのだが。

173 ◆30rKs56MaE [sage] 2006/03/12(日) 08:21:02 XERKr+UQ
    そうそう、全曲の最後のところに、これはどう考えてもグラニュラーシンセシスで伸ばしただろうという
    電子音響が出てきた。キラキラとした音はいかにも最近の電子音といった感じだが、
    それをオーケストレーションの中で自然に活かしていたのはやはりサーリアホの凄いところだろう。
00087分74秒
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2007/02/07(水) 00:30:42ID:mSYHjumV
248  ◆30rKs56MaE  [sage] 2006/03/28(火) 07:48:14 5QMuy7sD
    今日はサーリアホの新作オペラ「アドリアナ・マーテル」のゲネプロ。
    3階客席だったが、9割方埋まっていた。2階客席は満席。
    1階はパトロンとかの業界関係者だろう。あまり埋まっていなかった模様。
    なお、暗い客席だったがノートを取っていたので、細部まで思い出せるようにしてある。
    結論から言うと、かなり保守的な作品だった。まあ想像通りだが。
    一部を除いて明確な調性になることはないのだが、ドラマトゥルギーが舞台上と完全に
    連動しており、完全な表現主義的作品だった。
    (おそらくここでヴォツェックに比例させる批評が出てくることが容易に想像できる)

    主題は戦争とレイプ。レイプと書くと面白がる奴が一人いそうだが、
    レイプシーンの音楽は意外とあっさりしたもので、トゥッティで金管全奏のパルス。
    最後にパルスが早くなっておしまい。
    現代オペラでレイプシーンを描いたものとしてはアンドレ・プレヴィンの「欲望と言う名の電車」
    が挙げられるが、これは舞台暗転の上でたっぷり5分かけて描写している。
    (CDでしか聞いていないので、舞台を見たわけではないが)
    サーリアホの場合1分足らずで終わるが、総奏でパルスとはあまりに直接的描写過ぎはしないか。
    で、これは最後まで描写音楽になるヨカーン、と思って見続けていたが、やはり全体的に
    表現主義的で、一応サーリアホ独特の音響に支えられた音楽ではあったものの、美学的には
    相当保守的だった。
    しかも、最後の最後でイ短調に終結し、チェロとヴァイオリンのオクターブによるメロディが
    出てくるのにはぶったまげた。うわー、これは全部ぶち壊しじゃないか、とさえ思った。
    僕は以前書いたとおりサーリアホマンセーヲタで、今日も休憩時間にIRCAM仲間や他の知人が
    全体的に否定意見だったのに対し必死で弁護に回ったが、最後のを聞いた瞬間
    これはやっぱり否定すべきだったのではとすら思った。
    合唱は常に舞台裏で歌い、時々その声はスピーカーで増幅されパンニングする。
    電子音響はレゾネーターしか聞こえなかった。特に変調された音は用いていない模様。
    何のためにIRCAMが音響合成を手がけたのか、いまいち説得力が感じられなかった。
    レゾネーターだけならそれでも構わないが、それにしてもサーリアホの初期作品
    「ペタル」や「ノアノア」ではレゾネーションが効果的に使われているのに、
    今回はオマケ程度にしか感じられなかった。
    つい先日再演を聞いた前作のオペラ「遥かな愛」では、最後にグラニュラーシンセシスで
    引き伸ばした音響が確かに電子音響ならではの存在感を強く主張していたのだが。
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2007/02/07(水) 00:31:20ID:mSYHjumV
249  ◆30rKs56MaE  [sage] 2006/03/28(火) 07:49:37 5QMuy7sD
    ここからはあらすじを簡単に書いておくので、読みたくない人は読み飛ばして下さい。

    舞台は北アフリカ(フランス語でマグレブという)の戦争を間近に控えた某国の村。
    主役の女性アドリアナがサルコという男にレイプされ、その後妊娠したことを知るが
    妹との対話の結果その子を生むことを選択する。ここまで第1幕。

    第2幕では国家が戦争に巻き込まれ、アドリアナの村は壊滅する。
    アドリアナの産んだ子ヨナスは17歳に成長する。ヨナスはわが身の生い立ちを知り、
    戦争によって得た銃を握り、母親の望みでサルコを殺すために彼を探す。
    結果サルコを見つけ銃を突きつけるが、サルコは戦争によって盲目となっており、
    もはや人生をあきらめ死ぬことを決意している。
    それを目の当たりにしたヨナスは実の父親としてのサルコの情に流され、
    殺すことをためらってしまう。
    母親アドリアナの下へ帰ったヨナスは涙ながらに詫びるが、アドリアナは
    「彼は死ぬことを決意しているのに、ヨナス、お前は彼を殺すことを決意しなかった。
    お前が生まれたとき、いやその前からお前が彼を殺すことが私の望みだったのに」と
    呪いの台詞を吐く。(台詞は電光字幕入りだったので容易に理解できた)

    管弦楽法として特徴的だったのは、今までのサーリアホ以上に反復語法に頼っていたのと、
    小物打楽器類が多かった。ウィンドチャイムやウッドチャイム、あとヨンギー・パク=パーンが
    多用している、貝殻をつるした打楽器など。
    ピアノが2台オケピットに入っていた。サイズはヤマハで言うならC3程度で、
    コンサートグランドではないが。それに対してハープは1台しか使っておらず、
    時々音がかぶさって聴き取れない部分もあった。
    先に書いたレイプシーンを始め、金管の総奏によるアタックがやや濫用気味。
    あと第2幕冒頭は、サーリアホの音楽ではおそらく過去最速。ハイハットシンバルの高速連打による
    パルスに、サーリアホの常套句であるマリンバの高速パッセージがかぶさっていた。
    人物ごとに音楽の印象が変わるのはあからさま過ぎて、ライトモチーフ云々と言う以前の問題。
    しかしヨナスとサルコの対話シーンでは、高速テノールと低速バスの対比でオケ伴奏の
    校庭がそれに反比例する書き方で、これは悪くなかった。
    あとヨナスがサルコに銃を突きつけてコントラバスがバルトークピッチカートを総奏する場面は
    どう考えても銃声だろうという音響を連想させ、あまりの迫力に寒気すら感じたが、
    演技上は銃を撃っておらず、サルコはそのまま生きている。ここは演出ミスの印象が強い。
    空撃ちでも銃をぶっ放すくらいさせたほうが心理的音響とシンクロするのではと思った。
    しかし逆にそれをやると表現主義的過ぎるかもしれないが。
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