彼女の誕生日に何かプレゼントしたい。そう思っては見たものの財布には千円札2枚と
小銭が少々。だから、何か手作りのモノにしようと決意した。端切れを何枚か買ってきて
慣れない手で、小銭入れと巾着袋を作った。小銭入れは、チャックを斜めに縫いつけて
しまい、巾着はいびつな形に・・・。そして、それぞれに刺繍で名前を入れたが、何を刺繍
したか分からない状態に・・・。次に、製材屋に行ってゴミにする角材や板きれをもらってきてイスを作った。工作は得意だったから、コレはうまくいった。が、ニスがムラになってしまっ
った。
 とうとう迎えた誕生日、俺は手製のプレゼントを持って彼女に会いに行った。そして、
小銭入れと巾着袋、手製のイスをプレゼントした。その時、重大な事に気付いた。
彼女は生まれつき足が悪く、イスに座ってると血行が悪くなりしびれたり痛んだりする。
渡してから気付いた自分が本当に情けなかった。彼女は、笑顔でイスに座って見せ
「ちょうどいいよ!ありがとう」と、言ってくれた。けど、明らかに窮屈そうに座っていた。
俺は、いびつな小物の事とイスのことを謝った。そして、そこで情けないことにホロホロ
と涙を流してしまった。「あやまること無いよ。一生懸命作ってれたんだから嬉しくない
訳ないよ」と、優しく肩を抱いてくれた。結局、お祝いの日なのに2人で泣いて過ごしてしまった。

そして今でも彼女は大事にイスといびつな小物を使ってくれている。それが、手芸を始める
きっかけになった。彼女にもっといい物をあげたい、そんな思いで始めた。

男のくせに!w と、思われるかもしれないけど・・・w