【テンプレ読め】編物 質問スレ 33号室【初心者歓迎】 [無断転載禁止]©2ch.net
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>>422
何も考えずリンク貼ってしまってすみません
>>423
動画の画質が荒くてわかりにくいのにお答えいただいてありがとうございます
かぎ針のネット編みか、めっちゃ太い棒針で裏編みかなと予想していたのですが
AmazonのKindleストアでマルティナさんの本を無料で読めたのでじっくり見ていると
おそらくカゴメ編みの腹巻き帽子というのが近そうでした
私には少し難しそうですが頑張って編んでみようと思います
ありがとうございました 質問させて下さい。
40番レース糸できつめにモチーフ編みをしています。
手持ちの針の中ではアミュレの12号が一番編み目が綺麗なのですが、ペンEは針先は同じものでしょうか? 編み図ってサイズ表記されてないものはMサイズですよね?
それをLサイズで編む場合どうしたらいいんでしょうか?
ちなみに編みたいのはベレー帽です。 >>426
帽子はウェアのように厳密にサイズを考えなくても良いと思いますが
ベレー帽なら「Mサイズ」とかではなく、直径とか深さとか、頭まわりの長さが書いてありませんか?
そこの書いてある長さと希望のベレー帽の長さがどのくらい違うのかによって調整の仕方が変わります
希望サイズが決まったら、次は編む糸でゲージをとってみてください >>426
補足です
頭回りの長さは伸び具合を考慮して決めてくださいね >>428
書いてありました。
どうも普通のMサイズではなく、もっと小さかったです。
なので編み図に表記されてるものより6cmは頭周りのサイズを上げたいです。
ていうか、まだ毛糸買ってないのでゲージ取った後の先を教えて下さい。 ゲージによってどの程度どう増やすかを決めますとしか言いようがないような
やり直しがきくのが編み物の良いところなんだから、取り敢えず糸を買って編んでみては? 初めて編むんならとりあえず編んでみるのもありかと
編み図より太めの糸・針で編んでみては?
少し編めば大きすぎるとか小さ過ぎるとかわかるかもしれないし、ほぼ完成されるのもありかと
自分だったら大体これぐらいで大丈夫かなと思って完成させても、サイズが合わないようなら針の太さを変えて編み直す
それぐらいの気持ちならジャストサイズに近いものができるんじゃないかな?
頑張って! >>430
編み図を変えず糸の太さだけ変えて編む方法を書きますね
6cm大きくするには、元の大きさから全体を何倍に拡大すればいいのか計算します
次に本に書いてあるその編み図のゲージをその倍数で拡大します
例えば10cm角に24目30段を1.2倍に拡大すると、20目25段になりますね
(言い換えると、24目30段で12cm角になれば希望のサイズになりますね)
その計算したゲージに近そうな糸を買い、実際に編んでみてゲージをとります
計算したサイズと合わなければ針や手加減を変えて合わせます
あとは編み図の指示通りに編めばできます
同様に、編み図の目数を希望のサイズになるように計算して編むこともできます
例えば1.2倍にするなら頭回りが100目→120目に増やすということです
段数も同様に
形が複雑だったり模様が入ると当然ややこしくなります
以上がサイズ変更の厳密な方法です
こういったやり方が難しいようでしたら、希望のサイズに近い編み図を他に探したほうがずっと楽です
また、ある程度慣れていればこの辺は適当にやっても勘で合わせられるようになります
もし初心者の方でしたら、ゲージを合わせるだけでも難しいでしょうし、本と同じ太さの毛糸で同じように編んだほうが失敗は少ないと思います
もちろん好みの毛糸を買い、編んでみて長さを確認しながら適当に調整しても大丈夫です
やりかたは適当に…としか言えませんが… ゲージを計算して調整する方法を書きましたが、もし初心者の方でしたら、他の方がおっしゃっているようにとりあえず編んでどんな感じか確かめてみるのがよいと思いますよ
編んでみて小さかったり大きかったりすればほどいてやり直すことができますから
目数を数えやすい毛糸を選ぶとよいと思います
がんばってください 横からだけどサイズ調整いつも適当にやってしまってたから参考になった >>431
>>432
>>433
>>434
ありがとうございます!助かります。
やってみます。 とりあえず編んでみたんですが、手持ちの鍵針だとゲージが合わない。
もともと毛糸も指定の物じゃないのですが。
試しに指定どおりの7号針で帽子を途中まで編んでみたけど、小さかったです。
8号でもゲージの目が微妙に合わなかったから、たぶん9号だと何とか合うと思うんですが現在は持ってません。
編み物って針が何本もないとダメなんですかね? 7号だと毛糸は極太レベルのはず。
編み慣れていないと、手がきつくなるので、ゲージが足りなくなるから
毛糸の指定の針でゲージ通りになるように編めるようになってからの方がいいと思う。 >>437
棒針じゃなくてかぎ針のほうだったのか
そりゃ糸の太さによって針を変えるのは当たり前だよ
手加減で調整するのも限界がある
手持ちの針だけでやりたいなら、最初からそれに合う太さの毛糸を買わないと >>437
とりあえず編んでみたものは、編み地としてキツすぎたりゆるすぎたりしない?
キチキチだったりスカスカだったらその針と毛糸の組み合わせは諦めたほうがいい
希望のゲージの目数と合わなくても、編み地がいい感じの密度なら、その針で編んだゲージに合わせて編み図を改変すれば編める >>437
編み方がキチキチだったら触り心地が硬くなりそう
私だったら号数を上げてみるかな?
それでもダメなら目数を増やすとか?
棒針もカギ針もたくさん持ってるよ
趣味で編み物やってる人にとっては普通だと思う
カギ針で帽子って初心者には意外に難易度高そうな?
マフラーみたいな物は編んだことあるんだろうか? 昔の暮しの手帖に載ってた細編みのベレーみたいなやつだったら、中心から適当な大きさまで増やしながら丸を編み、ほどよいとこで減らしてくだけで簡単なんだが
もっと複雑な模様編みとかなのかしら >>441
密度はキツくもゆるくもないと思います。
>>442
マフラーはないけど、あみぐるみとかバラのモチーフを鍵針で作ったことはあります。
>>443
マジですか?
実はずっと細編みで編んでく模様なしのものなんです。
鍵針は指定通りの7号で編んでたんですがゲージを取ったら鎖目だけ指定のゲージより3目多かったです。
何故か段だけ合ってて。 >>442
中心から円に編むタイプでつばがないデザインなら、サイズ調整はかぶりながらできるし
棒針でかぶり口から編むより編みやすいと思う。
って言うか平らに円が編めるようになれば、プレーンなものなら本とかなくても編める。
ただし、その「平らに円を編む」のが初心者には難しかったりするんだよね。 >>444
なんだそうだったのか早く言ってくれよw
ならずっと簡単だ
キツくも緩くもないならその針でOK
あみぐるみが作れたならだいたい基本の操作はわかるとして説明するね
その手の細編みベレーなら大雑把に
1. 輪の中にa目編み入れる
2. 毎段b目ずつ増やし(何目かおきに1目増やすをb回)、指定の段数まで編む
3. 平らにc段編む
4. 毎段d目減らす(何目かおきに二目一度をd回)を指定の段数編む
5. フチを適宜平らに編んで終わり
みたいな流れだと思う
工程2が終わった時点で、例えば直径が30cm欲しいのに25cmしかないなら30cmになるまで同じペースで増やし続ける
工程4で、さっき増やした分だけ減らす段数も多くするかぶってちょうど良いところまで続ければ良い 買った糸と編み図を具体的に教えてくれたほうが手っ取り早い気がする 編み図って書いたけど本の名前とパターンの名前でいいよ
検索かけたら何となくわかりそうなので
毛糸も名前がわかればいいんだけど、重さと長さだけでもOK >>446
そのやり方だと1の段階から目を多目に作るんですかね?
>>448
http://happyknittingmama2013.blogspot.jp/2016/04/blog-post_13.html?m=1
このサイトに載ってるベレー帽大人用Lサイズというものです。
最初はサイズのこと聞いたのに探したらLサイズ用の編み図があったのでそれで作っちゃいました。
ホイップスって毛糸が見つからなかったのでウルグアイウールの合太で編みました。 >>449
いや違うよ
2の段階が終わるところまで指示通り
そこまできて大きさが足りなかったら、今までと同じくらいの頻度で増やし続けて希望の大きさにすればいいというだけ
この編み図のS M Lを見比べてごらん
始めの目数と毎段6目増やすことはどのサイズでも同じだよ まあサイズ違いの編み図も見つかって、無事できたなら良かったよ 二目ゴム編み止めができません。
動画や初心者向けの丁寧な図解を見ても、やっぱりできません。
格闘しすぎて、最終段の編み目がだいぶヤバイことになってきました…。
寒波襲来までにマフラーあげるからね!と夫に約束したのに…もうめげそうです…。
誰かコツを教えて下さい…。 >>454
もしかしてとじ針で止めようとしてる?
とじ針を使った二目ゴム編み止めはきれいに仕上がるけどちょっと難しいよね
とじ針を使わない方法もあるよ
https://youtu.be/SbzeEg6XMwM
伸縮性もあるようだし簡単そう >>454
マフラーならそんなに伸びる必要ないし、伏せ止めでもいいのでは? >>456
一般的な伏せ止めだと端だけびろーんと広がることがあるから、
端をアウターの外に出して巻くなら>>455みたいな止め方の方がいい気がする。 編み始めが一般的な指でかける作り目なら、伏せ止めで問題ない気がする。ゆるむならきつめにすればいいのでは?
編み始めを二目ゴム編みの作り目したならまあ、見た目揃えるために頑張るしかない とりあえず伏せ止めしておけば、あとでほどいてやり直すこともできるよ
あるいは、始めと終わりをつないで輪っかにしてスヌードにするという手もある
身近では装着が楽だと男性に好評
旦那氏には正直に苦心していることを伝えたらいいよ、理解してもらえるかも 1目ゴム編みも2目ゴム編みも順番は同じです。
とじ糸の間隔が違うけど、表と裏を交互に見ながら表目だけ拾います。 皆さん色々と情報ありがとうございます!
動画であげて頂いた2パターンなら、出来そうな気がするので、ちょっと今から挑戦してみます。
ダメそうならとりあえず伏せどめして、また余裕があるときに再挑戦してみようと思います。
なんとか今夜中に完成させたい!
無事出来たらまた報告にきます。 >>462
頑張れ〜私も今日二目ゴム編み止めした。まだまだあやしいけれど善処はした。 https://www.fastpic.jp/images.php?file=5116437791.jpeg
悪戦苦闘の末、4目編んでかぶせる、という謎の伏せどめになりました…。
とりあえず完成はしましたが、編み目が目立つので、後日ちゃんとやり直したい…。 >>464
見た目キレイだからこれで問題ないのでは?
お疲れ様でした! むかしゴム編みの作り目は出来るが伏せどめ出来ないとき
ふたつ作ってはいだわ 棒針編みでの交差編み(まだ覚えたてなので、なわあみ針使ってます)は、
交差したところでいつもの表目、裏目よりもしっかり引き締めた方がいいんでしょうか? これみんな専ブラで画像みれるの?
.jpegでのせてくれても重くてなかなか開けないimgrとかツカエバいいのに >>470
わたしも開くのに時間かかり過ぎて諦めたw Janeで見てるけどなかなか開けないかな
結構時間かかるよ >>469
わたしも知りたいです
今のところ普通に編んでますが…ただでさえキツいのにこれ以上引き締めて編めそうにないけど >>469
ゆるくなってるんだよね?
編み上がってから、ちょいちょいと目を整えれば良いと思うけど、
理論的には、むしろ
交差編みする前の段(裏編みの段)で、交差部分の目をきつく
編むんじゃないかな >>473
緩くなるので、穴が開いたように見えないか心配ですよね。
>>474
なるほど。勉強になります。まだ交差編みが二つ出てくるので、出てくる前の段できつく編んでみます。 縄編みをきれいに編む方法を解説した動画、私にはすごく参考になった
https://www.youtube.com/watch?v=ravgF2nmc5I
ゴム編みの表目が緩むのと同じ理屈で縄編みの次の目が裏目だから目が緩む、そこを何とかしてみましょう、というお話 >>476
裏目と表目の接点にリバーススティッチを入れることによって、心地いいハリにすることができるんですね。
勉強になります。 ずっと気になってた動物編み込みバッグを作ろうと本を入手したところなのですが、
そもそも編み込みの経験があまりなく、編み込み模様のための糸玉の分割をどうしたらいいのか分かりません
同色を何ヶ所か離れた場所で使うので糸は分けておいたほうがいいんだろうけど、ここを編むには何グラム必要かとか、こことここは繋げたままでイケる、とか。
本に載っているのは各色それぞれのグラム数だけです
どうやって割り出せばいいのでしょうか >>478
1本で繋げて編める範囲の目数の合計をそれぞれ出す
編み図を塗り分けるとかして数えてもいい
その目数の割合で、用意した糸を分ける
…しかないのでは かぎ針編みの縄編みの模様が上手く出せません。
こちらの縄編み部分が見本のようにならないのですが、全て引き上げ編みは表引き上げ編みで大丈夫でしょうか?
また、細編みを拾う際に針を刺す場所は二目とも拾うと凹凸があまり出ませんでした。
常に奥の一目を拾えば大丈夫ですか?
それでも縄編みの両側のくぼみ(?)のような部分が上手く出ないのと縄編みの両端(ボッブルの両端)
の縄のようなものは引き上げ編みだけだとうっすらとぐるぐる模様になるだけで、画像のような棒針編みの表目のようにするにはどうすればいいですか?
また2つ目のリンクで縄編みについて、同じ記号図で裏引き上げ編みと書かれているのも気になってます。
裏引き上げ編みは必要ですか?
あまりよくわかってない質問ですみません。
http://atelier-mati.com/?p=826
http://atelier-mati.com/?p=5396 編み図は、出来上がりを表側から見たものです。
長編みで引き上げ編みを説明しているページは、次の段で交差させているので、
説明にもあるように読み替えて、裏側から編むときは裏引き上げ編みで編みます。
細編みの部分もこのみでアレンジしていいと思います。 >>478
別に分けなくてもいいのでは?編み終えたらチョキんって切っちゃえば? 終わったら半端な玉が何個も出ることになるのか
2ヶ所なら玉の両端から取ればいいんだろうか >>483
それはやめた方がいい
私もそう思って一度両側から取り出して編んでみたことあるんだけど糸が絡みまくって訳わからんことになった
一段ごとに直してたんだけど編むより直す方が時間かかってるんじゃあ…って状態だったよ >>478
一色を使うのが一度に1箇所なら
私も分けずに編んでしまうと思います。
ゲージ取るのにスウォッチ編んだと思いますので
残りの糸玉とスウォッチの重さを測り
糸長と目数、もしくは糸長と面積の比を出して
あたりをつけてみてはどうですか。 >>478です
インスタやブログなどで検索していろいろな方の作品や過程を見ていたら裏側に小さな糸玉をいくつもぶら下げてる方がいたので、最初に分けておくものだと思い込んでいました
編みながら切っていく方法でも良さそうですね
ある程度の目数で見当つけてから編み始めてみたいと思います
ありがとうございました! マジックループって、一段の半分ごとにくるくるしないといけなくて面倒臭いと思うのだけどどうしてあんなに人気があるのでしょうか?
長さが合っている輪針を使った方が楽だと思ってしまいます
慣れると手間に感じなくなるのでしょうか… www
私もマジックループ苦手
長さが合っている輪針があればいいけど、
例えば靴下サイズを編む場合、その長さの輪針もあることはあるけど、
持ち手の針部分が短すぎて、かえって編みにくいんだよね
帽子となれば、終点まで編める長さの輪針なんてないわけだし
マジックループageageなのは
【4本針を使うのと比べて】素晴らしいと言いたいんじゃないかな
私は、マジックループより幾分マシという理由で
輪針2本で編んでいるよ(それでも面倒臭いけど)
輪針2本のほうが苦手な人もいるので、好みだけど >>488
年に何作もウェアや巻き物と編んでいると様々な号数や長さの針が必要になります
長さと号の合った輪針がそりゃ楽だけどいちいち買ってられない
慣れれば苦にならないですしマジックループにも何種類かあったりしますので、そういうもんって感覚になってきます
付け替え針と海外パターンの普及とともに広まったかんじもするのですが
5本針4本針に比べたらだいぶ楽になったと思っています あら書いてたらかぶった(^o^)
ベスト、ショール、靴下と輪をよく編むんですけど
5本針4本針はよく針すっぽ抜けてアワワってなってましたし、針というか編み地の境目が2・3ヶ所あったのがマジックループでコード出てる1ヶ所になったのと編みかけも巾着みたいにすればいいだけですごい楽に感じる
金属のダブルポイントで靴下やったときに抜けて抜けてしょうがなかったけど落ちない輪針最高、片方で力尽きるくらいなら同時編みして玉が臍帯みたいになろうがまだましと思う最近です >>488
小物しか編まないのかな?
靴下編むんだったら専用の短い輪針も売ってるよね
長い輪針のメリットは
・靴下編むときは二足同時編みすると大きさが揃いやすい
・ソックヤーンだと柄が揃いやすい
でも短い輪針でも数段ずつ交互に編んでいけばほぼ同じぐらいに編める気がする
もう一つの大きなメリットは(普通の棒針よりは)軽いことと長い輪針持ってれば大抵のものが編めること
長い輪針を使いこなせれば1号に1本長い輪針を持ってれば大抵のものが編めるから実はこれもかなり大きな理由かも
ちなみに自分は短いの長いの両方持ってるけど、靴下編みはマジックループ派
小さい輪針でチマチマ編んでると肩が凝ってしまうし、4本針があまり好きじゃないので消去法でマジックループに
マフラーのときは普通の棒針か長い輪針のどちらか
セーター帽子手袋などそれ以外のものを編むときはほぼ長い輪針しか使わない
輪針で4本とか5本で編むことは皆無
これは好みかなあ >>488
ミニ輪針もあるけど私は40cm未満の輪針を使うならマジックループの方が面倒に編みやすさが勝つ
あとは帽子の頭の部分の減らし目みたいに輪の径が大きく変わるときにも編みやすい
ただの筒を編むならできれば長さがあっている輪針で編みたい
あとはマジックループで編むと試着が出来るんだよね
これが割と便利 私は輪針2本派
そんでたまに気分変えようとか思ってDPN棒針で編んでると
輪針の癖で勢いよく針引っ張っちゃって編み目全部すっぽん抜いちゃったりする コードの色が違う輪針二本でやってる
手袋とか表裏を間違えずに済むw マジックループだと編みかけで試着ができるのが好き
輪2本でもできるけど 裾から編んで減らし目をしていくワンピースを編みたいと思っています。
模様編みはなくて総メリアスです。
毛糸はモヘアファンシーヤーン合太です。
大物なので前後身頃を別に編むと挫けそうなので輪針でいっぺんにぐるぐる編みたいと思います。
脇の部分がズレないように気を付ければ編めそうだと考えていますが大丈夫でしょうか。 >>499
長いもの編んだことある?
着るもの編んだことある?
Tシャツ畳んだことある?
全体的にねじれるわ型くずれするわ、ややこしいことになるよ。 >>499
ヨンスドッターさんの、アイスランドウールで編むロピーセーターとモダンニット、という本のkedja(綴り違うけど)みたいな感じでいいのかな?ラベリーにもパターンある。
来シーズンは指定糸を買って編むつもり。裾は平編みでかのこかガーターで編んでから、輪にしてメリヤスでボトムアップで編む 途中で書き込んでしまったよ、
参考になると良いのだけど。温かいだろうな、長めで編んで、長靴履けば雪国も大丈夫だろうと妄想中。 >>499
ゲージ取るついでに試し編みして斜行しなさそうなら捩じれの心配はなさそうだけど
自分だったら両脇1目ずつを裏目にして偽シーム作るかな
ただ、輪編みだと作り目が果てしないから、綴じはぎが絶対イヤ!とか
脇がゴロゴロするのがイヤ!ていうんじゃなければお勧めは出来ないかな あの二足同時に編むやつも、マジックループの部類なんでしょうか?初心者質問でスマソ。
もしそうならば、マジックループも使えるかなと思って。できてないくせに上から目線でスマソ。 >>500-504
みなさんありがとうございます
インフルエンザにかかりお返事が遅くなりました
ご指摘いただいたように輪針でぐるぐる編むと編み地がねじれてしまうと思いました。
ワンピースなのでよろしくないと気づきました。
輪針で編むのではなく後ろ見頃と前見頃を同時に編んでみようと思います。
デザインは首回りが違いますが>>501さんのkedjaみたいな感じです。
偽シームというのも考えましたが応用力のない初心者ですので別に編んで最後にはぎます
ありがとうございました >>505
それはそれは水分と電解質をしっかり摂ってお大事に。
私は一昨年かかりました。 >>505
詳しくないけれど、糸の撚りがメリヤス編みをしたとき、斜行を引き起こす場合があり、撚りが全体でバランスがとれて、斜行が少なくなるように糸を生産しているらしい。
アイスランドのロピー糸は撚りのかかっていない糸で斜行を起こす力はない、はず。
来シーズン編んでみて、斜行っぷりを確かめてみるよ。
お大事に、まだまだ流行中だね。 湯たんぽカバーをアクリル100%の糸で編むのはよくない? アクリルはあまり熱に強くないんじゃなかったかな?
ウールとかで編んだ方がいいと思う アクリルは使ってるとだんだんヘロヘロと伸び気味になってくるので、キュッとしててほしいならウールがいいと思う >>509 >>510
ありがとう
ピエロの姉妹店で安いウールの糸買うことにするわ 片面イギリスゴム編みの編み方を教えて戴きたいのですが…
両面イギリスゴム編みは以前マフラーを編んだことがあります
片面イギリスゴム編みは単純に片面は普通の一目ゴム編み、もう片面は表目と浮き目の繰り返しで編んでいくのでしょうか? 連レスすみませんが自己解決しましたorz
試し編みしてみたところ
v
V
v
V
と全然編み目が揃ってくれませんがこれは要練習でしょうね…かけ目が緩すぎるのが原因だとは思うのですが >>514
イギリスゴム編みに使うのは、かけ目でも浮き目でもなく「引き上げ目」です
かけ目では目が増えてしまうし、浮き目では表目の上に糸が渡るので違います
なお裏目側に糸が渡るのがすべり目です
片面には裏引き上げと表引き上げがあります
揃う方を表にしたらよいのでは? >>515
ありがとうございます。
以前、両面イギリスゴム編みで編んだマフラーがボリューム出過ぎてしまったので
もう少しボリューム抑えたものが欲しくて片面イギリスゴム編みにしようと思ったのですが
この裏面の編み目が揃わないのは仕様なんですね
ちょっと個人的に好みではないので中細一本で両面イギリスゴム編みにするか2本取りで一目ゴム編みかメリヤス輪編みで編もうか考え直してみます… >>516
イギリスゴム編みはボリュームが出るものなので、普通のゴム編みのほうが向いていると思いますよ
好みの編み地が見つかるといいですね とても初歩的な質問で恐縮な上に、上手く伝えられるか分からないのですが、
同じ数で作り目をして同じ段数を編んだ場合、メリヤス編みで編むのと縄編みで編むのとでは、出来上がりの大きさに違いはあるのでしょうか?
質問が分かりづらかったら申し訳ありません… >>518
ぜんぜん違ってきますよー
縄編みの方がギュッと小さくなります。 >>518
編み地によっても糸の性質によっても「横に広がりがち」「細くなりがち」「縦に伸びがち」とか全然違うよ
縄編みは幅は狭くなりまく >>519
>>520
お二方ともありがとうございます!
縄編みの方が狭くなってしまうんですね
メリヤス編みで編むシンプルなセーターにアラン模様を少し入れたいなと思ったのですが、作り目の数から変えないとだめなんですね 数日前、棒針の号とミリを教えていただいた者です。
三國万里子さんの大きなボタンのカーディガンを編み進めていますが、編み図が手元にある方に質問です。
前後身頃を続けて編み、脇で分裂して前後ろと編めたのですが、左前を編み始める時に糸をつけるところがわかりません。
伏せめをすると後ろ身頃に向かって進行してしまい(反転して)←2という進行方向に進めなくなります。
糸をつけて6目伏せたら、前たて側からもう一度糸をつけて編み始めるのでいいでしょうか? エコアンダリヤの棒針の本はなかなかないですね
どうしてなのでしょうか >>523
棒針編みの編み地は強度がないから。
穴だらけのすかすかになる。 棒針経験はそこそこあるのですが難しそうで敬遠していた編み込み(フェアアイル系)にチャレンジ
してみたいと思っています。
お勧めの本あればご教示ください。初歩的な処から知りたいです。 >>526
ここは質問スレなんだけど意味わかってるのかな
あなたの好みとか知らないし、アンケートなら他所でやってくれるかな
Amazon行くなり画像検索でもして自分で探して下さい。 あ、質問はOKか
でも初歩的なことは聞くな!なのね、難しいのね〜 >>530
たとえば自分で本を調べてこの本は初心者にはどうですか?
という質問ならOKだったと思う。
丸投げでオススメ教えてじゃ答えようがないからじゃないかな。 なるほど、よくわかりました
ありがとうございます! やっぱアレだな
こういうアレなことを書き込むのは
やっぱアレなんだということがよくわかった
下手に触って申し訳なかった ID:KgUItau70が過剰反応しすぎに見えるんだけど
なにかイヤなことでもあったの やりすぎ防犯パトロール、特定人物を尾行監視 2009年3月19日19時7分配信 ツカサネット新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090319-00000026-tsuka-soci
この記事で問題になった通称やりすぎ防パトは、創価学会と警察署が引き起こしていたようです
掻い摘んで説明すると
・創価学会は、町内会や老人会、PTA、商店会等の住民組織に関し、学会員が役員になるよう積極的に働きかける運動を
90年代末から開始し、結果、多くの住民組織で役員が学会員という状況が生まれた
・防犯パトロールの担い手は地域の住民と住民組織で、防犯活動に関する会議や協議会には、住民組織の代表に役員が出席する為
防犯活動や防パトに、創価学会が間接的に影響力を行使可能となった
・防パトは住民が行う為、住民が不審者や要注意人物にでっち上げられるトラブルが起きていたが
創価学会はその緩さに目をつけ、住民組織を握っている状況を利用し、嫌がらせ対象者を不審者や要注意人物にでっち上げ
防パトに尾行や監視、付き纏いをさせるようになった
・防パトは地元警察署との緊密な連携により行われる為、創価学会は警察署幹部を懐柔して取り込んでしまい
不審者にでっち上げた住民への嫌がらせに署幹部を経由して警察署を加担させるようになった
・主に当該警察署勤務と考えられる創価学会員警察官を動かし、恐らく非番の日に、職権自体ないにもかかわらず
私服警官を偽装させて管轄内を歩いて回らせ、防犯協力をお願いしますと住民に協力を求めて回り
防犯とは名ばかりの、単なる嫌がらせを住民らに行わせた(防犯協力と称し依頼して回っていた警察官らの正体は恐らく所轄勤務の学会員警察官)
※これに加えて防犯要員が同様のお願いをして回る
・こうして防犯パトロールを悪用し、住民を欺いて嫌がらせをさせつつ、創価学会自体も会員らを動員し、組織的な嫌がらせを連動して行った
つまり警察署に勤務する学会員警察官、警察署幹部、創価学会が通称やりすぎ防犯パトロールの黒幕
詳細は下記スレをご覧下さい(現在スレが荒されてますので、テンプレと87の連絡先さえ確認して頂ければokです)
やりすぎ防犯パトロールは創価学会と警察署の仕業だった
https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/bouhan/1516500769/1-87 パーセントとかでフェアアイルっぽいカラフル可愛い編み込みをしたいだけなのか、
ガチのシェットランドウールでスティーク入れて編みたいのかで全く変わるからね そもそもフェアアイルなんて多色編み込みが初心者向けではないような あっ初歩的ね
風工房の3000円くらいのか厚い翻訳本でいかが ちょっと季節外れになってきたけど小物を編むのはどうかな?
手袋ミトン帽子など
ステハンのバックナンバーにミトンがあったと思う
番組は見たけど本は購入しなかったんだよね
番組内では丁寧に教えてくれてたような記憶がある
2015年12月号の表紙のミトンなんかどうだろう? その天女柄マニアにつき〜って歌が身にしみるわ
段々シンプルなメリヤス編みが物足りなくなってくる こってり模様編みで着るもの編んだり、編み込みに凝った時期があったけど今はシンプルなメリヤス編みが一番使いやすいなと感じてる これから春先に羽織るカーディガンとかは、コットンで編むのがベストでしょうか?
春だしコットンかなと考えたんですが、母が昔編んだ綿のカーディガンが重みでだらんっと下がっていたイメージがありあまり好きな感じではなかったので、何か春先にオススメの素材があれば教えて欲しいです。 暑がりの自分だったらリネンだけど
エアコン対策ならシルクもいいかな
コットンは重いし編むの疲れるw コットンとアクリルの混紡とかポリエステルとかレーヨンとか
自然素材オンリーが良いならシルク
リネンは案外重い気がする >>543です
アドバイスありがとうございます。
シルクは使ったことないので安いのが見つかったら挑戦してみたいです。
今日、軽くてさそうなコットンを見つけました。より弱め5号で編むぐらいの糸を2本どりで裏メリヤスがメインのカーディガンに出来るかなと考えているんですが、ウールと違って2本どりがきれいに馴染む?か心配です。
同じような糸で編んだことある方いましたらアドバイスお願いします。 現物を見てないからアレだが、コットンの2本取りってすごく重そうなイメージ やっぱりコットンは重くなりますよね…
編みたい編み図があって、長さと重さを計算してみたら2本どりだとぴったり同じになったのでどうかなって。計算上は同じでも編んでみてゲージが違えば意味ないですもんね、
実際に買って試すしかないか。 計算上ぴったりゲージでも着たら重みでどうなるかわかんないじゃん
あと夏糸は着れる時期が短いですよね
透湿がよくないのかクサくなるのがある…洗ってもなかなか乾かないような、着るとじっとり そうなんですね…
編みたいカーディガンって、三國万里子さんの編み物ともだちの木の葉のカーディガンなんです。
あのデザインがどうしても春色で編みたくてウールだと季節感が私のイメージと違うので悩んでいました。
一度買ってみてスワッチ編んでみることにします。質問しておいてすみません。ありがとうございました! 編み物してると目が痛くて涙と鼻水出るんだけど、向いてないのかな >>554
市販のニット製品は着たり触ったりしても大丈夫なの? 夏に身につけるアームカバーを編みたいのですが
靴下用みたいなウールの細い糸とコットンのサマーヤーンでは
どちらが向いているのでしょうか?
なお、かなりの汗っかきです >>558
ソックヤーン 夏用 でぐぐったら色々出てきました!
ありがとうございます 質問です
幅の狭いマフラー様のもの編んでるんだけどだんだん一方向に曲がって行ってしまう
お金をケチって15号のところを9号の針で編んでるからなんでしょうか 模様とかはない二目ゴム編みで、毛糸はダイエーのシフォンムース
(オススメ使用針のサイズは棒針15号、かぎ針10/0号)です >>566
こんなかんじ
>>567
まずは、15号と9号はぜんぜん違うし、あえて固く編みたいわけでもないなら初心者はもうちょっと近い号数を、買った方がいい。
ケチるっていっても108円でしょ?
曲がるのは、その程度なら編み終わってから洗濯でもすれば治ると思う。
それか、途中まで編んで、続きを編むときに裏側になっているのを知らずに編んでたとか。
糸が太いから気づくだろうけど。 >>568
ありがとうございます
棒を買う方向で検討してみます 付け替え用のアフガン針をコードと一緒に購入予定で
ニットプロとチューリップで悩んでいます
どちらがおすすめですか? レスつかないね
自分はアフガン自体編んだことなくて、使ったことがあるのは付け替え含むニットプロの輪針とか日本製の輪針とか
ニットプロのコードは好きだけど、つなぎ目が少し引っかかる感じがあった
チューリップは使ったことがないのでつなぎ目はわからないけど、日本製のコードは大体乳白色のものだよね?
硬めなので個人的にはあまり好きじゃないんだよね
コードの質だけなら多分ニットプロのほうがいいと思う
付け替えに拘る必要が何かあるかな?
付け替えじゃないニットプロの輪針はつなぎ目が引っかかるということもなく、その点では使いやすい マルチというか、コピペ荒らし
別スレの書き込みを持ってきたりしてる
見たことある内容だなと思ったら触らずスルー 最近ハンクラ覗いてなかったところを今グル―っとめぐったら
コピペ嵐と無礼な質問荒しばっかりだった
なんかそういうバイトでもあるのかな?w 質問です
レースの三角ショールですごく気に入ったパターンがあるのですが、
寒冷地なので真冬にレース一枚では防寒が足りません
一番長い辺の真ん中から作り目をして、左右に広げていく二等辺三角ショールであれば
そのまま四角いショールへ変更することは可能でしょうか?
イメージとしては長辺同士を付き合わせて四角くする感じです
そうすれば気に入ったパターンのまま面積を大きくすることができると思ったのですが
実際のところいかがでしょうか >>576
2枚編んではぎ合せるという話ではなく、最初から中心から四角く編みたいということでいいです?
針の種類が書いてないけど、往復編みのものを輪に編むことになるはずなので、
模様によってはそのまま編めない可能性もなきにしもあらずかな。
とりあえず、自分で記号図描くとかして編めるかどうか検証してみてはどうでしょう。 >>576
元の三角ショールが直角三角形じゃないとひし形になるけど 中心から四角に編むクンストレース方式にしたいなら、初心者には無理じゃないかな。
2枚編んで長い辺ではぐのが良いと思う。 >>577
ありがとうございます。
針のことはすっかり抜け落ちていました。
輪針がよさそうですね。
一発勝負ではなく、編み図も描いてみてからのほうがよさそうです。
>>579
細い糸できれいにはぐ自信がなかったので、できればそうしたかったのです。
クンストレースを編んだことがなかったので、これを機会に調べてみます。
ありがとうございます。 質問お願いします
かごバッグ編もうと思うのですが麻紐と比べてズバゲッティってどんな感じですか?
柔らかいイメージありますが編みあがったものは使ってて伸びたりしやすいですか?
普段はコクヨやダルマの麻紐使ってます >>582
お店の見本品を触ってみた感想ですが、硬くて重いです
ポーチくらいの大きさでああなんだから、バッグはさぞかし重いだろうなーと思った記憶が
使ったことはないので、使った感想でなくて申し訳ない >>584
自分が行くとこは完成見本置いてない店舗だったので少しの情報でもありがたいです
そう言えば巻いてある大玉のズバゲッティ持った時けっこうな重さだったので、荷物が少ない時また来ようと棚に戻したことを思い出しました
>ゴムみたい
内布必須で持ち手部分も工夫が必要っぽい感じなんですね
もう少し検索ワード増やすなどして調べてみようと思います
ありがとうございました 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o コットン糸でぐるぐる編む帽子を編んでいます
ブリムもクラウンも6箇所6目ごとに増やしていきます
もうすぐ出来上がるのですがブリムが短く日除けには長さが足りません
長くするには6箇所6目を繰り返し段数を増やせば大丈夫ですか?
形がつり鐘ですのでどこかから広がるように目数を増やした方がいいのでしょうか >>592
前に編んだ帽子のブリムは増やす段、増やさない段みたいな感じで交互に編んでたかな
編み物はやり直しできるのでまずはやってみて
変だと思ったらまたほどいて別の方法で編めばいいですよ ありがとう
後出しになるんだけどピーターラビット
映画もしているし作品に使いたいと思ったんだ
著作権自体は切れているようなんだけど
商標権とかややこしそうだからやめておきます 昨日食った分のスタンプが1個しか付いてねぇ
キャンペーンの3個を貰えれば10個になって上がりだったのに、ほんとゴミアプリだな 昨日食った分のスタンプが1個しか付いてねぇ
キャンペーンの3個を貰えれば10個になって上がりだったのに、ほんとゴミアプリだな 青いバナナ=10代女子
黄色いバナナ=20〜40代女性
熟しておいしくなり始めたバナナ=50代以降の熟女 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o 補正予算、財政の「抜け穴」に規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた(o ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています