http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20071122i413.htm
「春の祭典」で開花、振付家・ベジャールさん死去

エネルギッシュな男性群舞、哲学や思想も表現する独創的な作品群でバレエの歴史を変えた、
20世紀最大の振付家、モーリス・ベジャールさんが22日、
スイス・ローザンヌの病院で亡くなった。80歳だった。

同日、日本の関係者に連絡が入った。

フランス・マルセイユ生まれ。14歳でバレエを始め、フランスや英国、スウェーデンのバレエ団に参加して、
様々なスタイルのダンスに触れて、独創的な振り付けのヒントを得た。

才能が開花したのは、男女同数のダンサーが野生的なエネルギーを爆発させた、1959年の「春の祭典」。
女性中心でおとぎ話に基づく踊りが主流だったバレエ界に衝撃を与えた。
翌年に20世紀バレエ団を設立し、「ボレロ」「第九交響曲」など、ざん新な作品を次々と発表した。

言葉を使わないバレエは「様々な世代や国籍の人間が地球全体の問題について、
同時に考える空間を創造出来る」というのが持論で、枠に捕らわれない創作活動を展開した。
演劇やオペラとバレエの融合、神話的イメージの導入、ロックの使用、古典バレエの読み直しなど多彩な作品を発表。
愛と憎しみ、生と死などの命題をバレエで表現した。

日本文化への造けいも深く、「仮名手本忠臣蔵」に基づく「ザ・カブキ」、三島由紀夫からイメージを得た「M」、
六代目中村歌右衛門にささげた「東京ジェスチャー」といった作品も残した。
主宰するバレエ団の公演や、東京バレエ団の振り付け指導などで何度も来日している。

昨年12月には80歳の誕生日を祝う記念公演がスイスで開かれ、最新作「ダンサーの人生」を発表した。

(2007年11月22日20時55分 読売新聞)