https://w.wiki/9tJX
https://www.ne.jp/asahi/village/good/nietzsche.htm

a)末人;最後の人間たち
「畜群」―家畜化された現代人の生態;人間の矮小化、創造力の喪失

「最も軽蔑すべき者達について私は語ろう。それは末人(最後の人間)だ。
人間の土地はまだ十分に豊かである。しかしこの土地はいつか不毛になり活力を失くすだろう。高い木がそこから生えてくることは出来なくなるだろう。…
私は君達に言う、踊る星を生むことが出来るためには、人は自分のうちに混沌を持っていなければならない。私は君達に言う、君達は自分のうちにまだ混沌を持っている。
災いなるかな! 人間がいかなる星も生まなくなる時代が来る
災いなるかな! 自分自身を軽蔑できない、最も軽蔑すべき人間の時代が来る。
見よ! 私は君達に末人を示そう。
『愛って何? 創造って何? 憧憬(あこがれ)って何? 星って何?』―こう末人は問い、まばたきをする。
そのとき大地は小さくなっている。その上を末人が飛び跳ねる。末人は全てのものを小さくする。この種族はのみのように根絶できない。末人は一番長く生きる。
『われわれは幸福を発明した』―こう末人たちは言い、まばたきをする。
彼らは生き難い土地を去った、温かさが必要だから。彼らはまだ隣人を愛しており、隣人に身体を擦りつける、温かさが必要だから。…
ときおり少しの毒、それは快い夢を見させる。そして最後は多量の毒、快い死のために。…
人はもはや貧しくも豊かにもならない。どちらも面倒くさすぎる。支配する者もいないし、従う者もいない。どちらも面倒くさすぎる。
飼い主のいない、ひとつの畜群! 誰もが同じものを欲し、誰もが同じだ。考え方が違う者は、自ら精神病院へ向かう。」(「ツァラトゥストラの序説」5)