明治三陸地震・昭和三陸地震・東日本大震災の比較

明治三陸地震(1896年(明治29年)6月15日発生)、昭和三陸地震(1933年(昭和8年)3月3日発生)は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に比べて、震源地が130kmほども沖合いで、
しかも100kmほども北の方で発生したため、地震としての揺れは東日本大震災よりも小さかったようです。三つの地震に共通しているのは地震発生から津波の到達までの時間が約30分で、
津波の最大遡上高を記録した場所が岩手県大船渡市・綾裡であったことです。昭和三陸地震は、明治三陸地震及び東日本大震災ほど規模は大きくはなかったようです。しかし、1929年の
株価大暴落に始まる世界大恐慌の最中に発生したため、復興が大変だったようで、被害に実際よりも大きく感じられます。
明治三陸地震の発生から昭和三陸地震の発生まで37年、昭和三陸地震の発生から東日本大震災の発生まで78年ですが、この間に1960年5月22日に発生したチリ地震において、三陸地方
は最大6mの津波被害を受け、142人もの方が亡くなっています。昭和三陸地震から1960年チリ地震の発生まで27年、1960年チリ地震の発生から東日本大震災まで51年となっています。
三陸地方は、30〜50年ごとに大きな津波被害が発生するといわざるを得ません。東日本大震災は1000年に一度の大震災だといわれています。逆に、「これほどの震災は今後1000年は
発生はしないので、震災に備えるのは990年ほどが過ぎてからでよい。」といった論調も見受けられるようですが、歴史的には今後30〜50年のうちに再びこの地方には大きな津波が
到来すると予測されます。
ここで、太平洋の反対側で発生したチリ地震について点検してみましょう。チリでは1960年と2010年に大規模な地震が発生し大きな津波被害を受けています。
2つのチリ地震の震源地の距離は三陸沖と福島県沖くらいの距離です。2つの地震の発生年月日には50年の差があります。チリでは50年の間に東日本大震災と同規模の地震が2回発生
しています。東日本大震災が1000年に一度の大規模災害であるとして今後990年間は心配は要らないと考えるのは早計でしょう。