このスレの混乱状況をみると、少し整理する必要がありそうだ。

このスレは[現代古典派経済学]塩沢由典[複雑系経済学]という表題だが、それは塩沢を誉
めたり貶したりすることが目的ではないだろう(そういう人物が複数いるが)。では何が目標に
なりうるか。それは21世紀の今日、経済学の現状をどう見るか、どう改革していくか、ではな
いか。その観点抜きに、塩沢の過去を議論しても何も出てこない。塩沢がいろいろ提案して
きたのも、1970年以降の経済学の現況に疑問を感じ、それを立て直すことを目指したのだ
と思う。俺が塩沢に注目するのはその点だ。

それがどのくらい実現したかというと、もちろんごく僅かでしかない。塩沢が中央大学定年の
直前に出した塩沢・有賀編『経済学を再建する』(中央大学出版部)は、共同研究の成果だが、
正直「再建」からはほど遠い。しかし、もしこのスレで議論する価値が何かあるとすれば、現
在の主流派経済学の問題点を見極め、経済学再建の方向を探ることではないか。

この観点に立つとき、議論の混乱のもととなる、経済学の一般情勢に関する認識の遅れにつ
いて整理しておきたい。日本では近経・マル経という対立が長く確立してきた結果、いまだに
経済学を近経・マル経の対立で捉える傾向がある。俺のような若い世代でも、そう考えるやつ
が少なからずいる。しかし、21世紀の経済学は、そうした対立を軸に回っている訳ではない。
また、一部の視野狭窄な人が考えるように、主流派マクロ(およびその支援勢力としてのミクロ
と計量)で十分ということもない。

21世紀の経済学は、少なくとも3つの立場を区別しなければならないだろう。
(1)主流経済学正統派(mainstream orthodox)
(2)主流経済学異論派(mainsream dissident)
(3)異端派経済学(heterodox economics)

この名前にはいろいろ考えられるだろうが、名前はともかく現在の経済学では、上の3つの立
場をきちんと区別しないと議論が空転する。