Virginia Woolf は、どれも短めだけど、確かに読むのが大変だ。ストーリーもわからなくなる。
今は誰のことを言っているのかさえわからなくなる。だから、カンニングみたいだけど、僕は
先に YouTube 上の映画版を見た。ただし日本語による事前の知識はまったく入れないようにした。

さっそくその映画を紹介しようとしたら、半年ほど前にあったその素晴らしい映画が
YouTube 上から消えている。ついでに、同じく Virginia Woolf の原作小説
"Mrs. Dalloway" に基づく映画も消えている。(一応は残っているが、映像も音声も
きわめて劣化したものしかない。)僕自身は、両方の映画の DVD をイギリスから輸入した
からいいものの、ぜひとも他の人たちにも見てほしかった。

Virginia Woolf については、他に "The Waves" という詩のような小説も読んだ。
この三つの小説は、どれもこれも実に素晴らしいと思う。ただし読みにくいし、気軽には
読めない。

Virginia Woolf を読むときには基本的に、筋を追っかけてはいけないと思う。筋書きの
進行は期待してはならない。あくまで文章の流れに身を任せる。過去か未来かわからない。
今は誰が、誰について語っているのかもわかりにくい。何についての話なのかもわかりにくい。
そして、それこそが Virginia Woolf のこの三作品の「素晴らしさ」なのだと思う。

そもそも意識というものは、それくらいにあいまいで、果たして今は何について、そして
いつの話について自分は考えているのか、はっきりさせながら人間は物を考えている
だろうか?そして、男は普通は過去と未来とを峻別し、誰の話なのか、何についての
話なのか、できれば論理的に、しかも筋書きをしっかりさせ、結論もはっきりさせるような
考え方をする傾向が強いみたいだが、果たして女性はどうなのか?もしかしたら、
Virginia Woolf は女性の意識の中身をそのままできる限りリアルに描こうとした
のではなかろうか?そういうふうな観点から彼女の小説の「流れ」にそのまま身を任せると、
今度はそれが好きになってくる。

Virginia Woolf については、過去に僕は下記のスレッドにてたくさんの書き込みをした。
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/book/1356090422/