小説『ダヴィンチ・コード』の翻訳者が、翻訳テクニックに関する自著に引いている1文なのですが
Despite PHI's seemingly mystical mathematical origins, Langdon explained,
the truly mind-boggling aspect of PHI was its role as a fundamental builiding block in nature.
示されている訳:「その数学的意味合いはたしかに謎めいているものの、真に驚嘆すべきは、黄金比が自然界の事物の基本的な構成に深くかかわっていることだ、とラングドンは説いた。」

この前文では、主人公ラングドンが、黄金比がフィボナッチ数列から導き出されることを説明しています。

"origins"について翻訳者は「ここでは前段落の内容(黄金比の数学的な定義や意味)をさしています」と述べています。

けれども「意味」や「意味合い」という語の使用は無理があるのではないでしょうか。
黄金比は数学的に導き出される技巧的な数のように思われるが、実は自然界にたくさんあるものだ、ということが言いたいのではないでしょうか。