脅威再び、欧州「連帯」 EU離脱でも英と治安協力へ 3/24(金) 7:55配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170324-00000079-san-eurp

【ベルリン=宮下日出男】パリ、ブリュッセル、ベルリン、そしてロンドン。
英国会議事堂周辺で発生した襲撃事件はテロの脅威に覆われる欧州を再び震撼(しんかん)させた。
英国は欧州連合(EU)離脱を控えるが、「テロとの戦い」は共通の課題で、欧州の各首脳らは一斉に「連帯」を表明。英国と協力していく考えだ。

「特別な日であり、言い表す言葉もない」。22日の襲撃発生後、EUのユンケル欧州委員長はこう語った。
ブリュッセルでは同日、ちょうど1年前に起きたベルギー同時テロの追悼式でテロ撲滅を誓ったばかりだけに衝撃は大きい。

テロの頻発で厳戒態勢が続くフランスのオランド大統領も迅速に「英国民が受けた(苦痛の)ことを理解する」と表明。
ドイツのメルケル首相は「英国の友人と連帯する」とし、メイ英首相に電話した。

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が絡むテロでは、敵視する欧米文化の象徴的な場所で無差別に市民を狙うケースが相次ぐ。
一昨年のパリ同時多発テロではコンサート会場などが、昨年12月にはベルリンでクリスマス市が襲撃。ロンドンも標的は民主主義を象徴する議会と観光名所だった。

一方、手段はパリのように武器調達など周到な準備を要する形から、昨年7月の仏南部ニースやベルリンの事件、今回の襲撃のように車両を使うなど簡易化。
社会への不満から過激思想に刺激された人物の単独犯行も目立ち、テロの防止は困難さを増している。

標的は従来、大陸欧州が中心だったが、英国も狙われる懸念は指摘されていた。
襲撃はEU離脱を決めた英国も、その脅威を共有する実態を再認識させたといえ、各国は「英国とともに立つ」(トゥスクEU大統領)との姿勢。離脱後も治安協力を目指す方向だ。

EUとしては今回の襲撃が大衆迎合主義(ポピュリズム)勢力に与える影響も懸念される。反EU、反移民を主張するこれらの勢力はテロを追い風に台頭。
大統領選を約1カ月後に控えたフランスでは23日、極右の国民戦線のルペン党首が襲撃を受け「国境は自分たちで管理せねばならない」と改めて持論を展開した。