ロシアの日本研究者アレクサンドル・メシェリャコフ氏の震災5周年に寄せたコラム

「悲劇にも動じない日本人の姿
このような未曾有の自然災害によるカオスの中にあっても、
人々は、「日本人としての本領」を決して失うことはなかった。
人々は、死を目前としても自らの矜持を守り抜いた。

ロシアの作家ボリス・ピリニャークは「日出る国のルーツ(Корни японского солнца) 」の中で、
こう書き記している。

「震災による大火事の後、生き残った人々が、死体を埋葬するために集まった。
人々は、多くの死体が整然と並んだままの状態で丸焦げになっているのを
目の当たりにした。それらの死体の下からは、
まだ息をしている子供達が見つかった。
大人達は、皆でまとまって整列し、自らの体を焦がし、
炎からの盾となることによって、子供達の命を救ったのであった」

ポーランドの外交官スタニスラフ・パテクは、
震災後の混乱の中で生き別れた父と娘が、奇跡的に再会した場面を、こう書き記している。

「震災後、離れ離れになっていた父と娘が、偶然に路上で再会。
遠くにお互いの姿を見つけた後も、
父と娘は、駆け寄って抱き合ったりすることはなかった。
歩み寄った二人は、日本の礼儀作法のままに、
体の前で手を合わせ深々とお辞儀をし、
静かにただ一言「こんばんは」と言葉を交わしたのであった。
この時、二人は、お互いに相手の体に触れることはなかった」」

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