■3.名目実効レートと実質実効レートという視点

「相対的な通貨の為替価値」の目処となる尺度は、各国GDP量または貿
易量を元に、加重平均された「実効レートでの通貨価値」です。

これは指数で表します。以下は、
・インフレ率を考慮していない「名目実効為替レート(円の相対価値)」と、
・物価上昇を引いた実質実効の39年間の長期推移です。
(データ:日銀:少数以下切り捨て)

http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/m.html

金額だけのものが「名目実効レートの指数」です。これが高まっても、
その通貨で買えるものが増えたとは言えず、世界の名目通貨に対す
る為替レートの変動を示すだけのものです。

「実質実効レート」は世界平均の物価に対し、円の購買力がどう変化
したかを表します。

この実質実効レートが、その国の通貨の本当の価値(商品の購買力)
」を表します。ある国に、世界平均より高いインフレ(物価上昇)が
起こると、実質実効レートが下がります。これが、本当の通貨価値の
下落です。

(各国の物価上昇を引いた)
名目実効レート  実質実効レート
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1970年  100       91(カッコ内は短いコメント)
1980   131      104
1985   164      106
1990   219      119
1995   300      135
2000   342      135(00年までは実効レートの上昇)
2002   310      117(実質実効レート低下)
2004   336      119
2006    290       99(実効レートのボトムの時期)
2008    384      128(金融危機後、実効レート急上昇)
09年1月 390      128
09年2月 384      126(実効レートは低下傾向)
09年3月  363      119
09年4月  353      115
09年5月  355      116
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(注)日銀はなぜか、09年6月以降は、物価の上昇を引いた実質実効レ
ートの計算を停止すると言っています。名目実効レートは計算し、公
表します。