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2016年10月27日、例年の通りプーチン大統領の演説が行われた。今回の会議でプーチン大統領が挙げた
国際社会の課題は、大きく分けて「アメリカ合衆国」と「反テロリズム」という二点に集約される。まず最初に
プーチン大統領が指摘したのは、アメリカが名指しでロシアを脅威と見なしているが、実際に大量生産されて
いる脅威とは、唯一の超大国(アメリカ)の国益に従って北大西洋条約機構(NATO)が膨脹し、ロシアとの
国境にNATOのインフラや特殊部隊、最新の軍事技術などが押し寄せている現実である、といった主旨の
内容である。このNATOの膨脹という現実を踏まえた上で、つまるところ西側諸国が喧伝するロシアの脅威とは
自国の市民の注意を外国に逸らすための「神話」であるに過ぎない、とプーチン大統領は言下に切り捨てた。
その上で、ソ連邦の崩壊後、アメリカが他国に重要な意思決定をさせないよう世界で振る舞い始めた事実に
ついて言及した。そこで具体的な善後策として、国際連合という、アメリカが他国と対等の立場で(少なくとも
ロシアを含む常任理事国とは完全に対等の立場で)利害調整をしなければならない機構を積極的に活かし、
国際社会への挑戦や脅威に対しては各国の主権を維持しつつ団結する必要がある旨を強調した。加えて、
現今(2016年10月の会議開催時点)のシリアでは未だに対テロリズムの統一戦線が形成されていない状況も
指摘した。

また、演説後の質疑応答では、日本人出席者より、今後2〜4年で日露間に平和条約が締結されることは可能か、
との質問があった。この期限つきの問いに対してプーチン大統領は、日露間の平和条約締結について期限を
設けることは不可能であり、それどころか有害ですらあり得ると回答し、交渉に40年もの時間をかけた中国との
国境画定問題について触れ、現時点(2016年10月の会議開催時点)での日露関係は未だ露中関係の水準に
達していない事実を指摘した。しかし、プーチン大統領は「いつそれが達成されるか、どうやって達成されるか、
そもそも達成されるのか、今私には答えられない。」と留保しつつも、日露関係の発展を望み、また努めている
意向を表明した。


ソース:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96#2016.E5.B9.B4