個人的な雑感を叩き台として書いてみる。長文失礼

辻惟雄
「奇想の系譜」で有名な大御所。ただ最も研修として価値が高いのは
『戦国時代狩野派の研究』。『日本美術の歴史』は日本美術史の基本教科書。
他の著書も総じてレベル高いが、最近は村上隆と組んだり
やや老害化してる気もしなくはない。

小林忠
2chの浮世絵スレなどだと非常に評判が悪い。色々黒い噂があるようだが、
「江戸絵画史論」はサントリー学芸賞取っただけあって、今読んでも優れた
概説書。至文堂から出てる『写楽』も、去年の写楽展で大量の本が出た後
でも、入門書として必要十分。最近はエッセイみたいな文章が多いが、
千葉市美術館でいい展覧会を開いてくれるので有難い。

山下裕二
テレビでよく見る人。『室町絵画の残像』は室町美術の基本文献の一つ。
マスコミ受けを狙った言動や、見た目の胡散臭さ(笑)で好みが分かれそう
だが、言ってること自体は結構まともだと思う。

佐藤康宏
担当した放送大学の日本美術史は必見。その教科書も、辻氏の
『日本美術の歴史』に飽きたらない人は必読。特に各章末の脚注や
参考文献は、入手困難な本も多いが、本格的に日本美術を知りたいなら
必読で価値の高いの本ばかり。自身の著作も総じて質が高い。
ただ、東大の『up』で連載してるコラムは読む人を選びそう。

狩野博幸
京博での展覧会企画は素晴らしいの一言。ただ、全体に論考が甘い、
ブンガク臭いのが気になる。