>>397
>彩度を落としぎみで、輪郭を失い気味
これは、線描を強調する東洋美術と対照的に、マッスを重視する西欧のリアリズム指向からくるものだろうが、
その源流は古代ギリシャ・ローマの様式に求めることができる。
ただ、中世西洋における挿絵・装飾を伴う写本は、カリグラフィ主体のために線的表現が優位となる点で、東西共通の様式があった。
それが、マッスの再現的なタブロー・板画・壁画が現れるのは、15世紀初頭の初期フランドル派からイタリアの盛期ルネサンスあたりから。

ちなみに復興の手本とされた「古代ギリシャ」だが、その地理・歴史から見て、当時むしろ中東の一部をなしていたのであってヨーロッパの一部とは言えず、
実際、ヘーゲル以降のヨーロッパ哲学者たちが誇るような、西洋哲学の起源としてのギリシャ古典などというものは、歴史的連続性のなかには存在しない。
ヨーロッパはギリシャ古典を、すなわちプラトンやアリストテレスを、トレドとパレルモを中心とするイスラム圏との交流によってギリシア古典が再発見された
12世紀ルネサンスまで、知らなかったのだから。