西脇市の織物業者Bさん(35)の場合、47年7月ごろ設備投資期の相談をしたが「夫婦の相性が悪い。このままでは夫婦別れか、
子供の死に目にあう」などと改名を勧められた。さらに今年4月までに「3か月以内に死ぬ」「先祖がうかばれていない」と
次々不吉な鑑定を受け、祈祷料142万円を払ったが、ショックで食事も満足にとれなかったほどという。他の会員らも
「死相が出ている」「子供の性格が悪い」などの運命鑑定に驚き、請求されるままに1回10〜2万円の祈祷鑑定料を払ったが、
信者によって金額もまちまち。BさんらはA氏の祈祷方を不審に思いながらも「私は“仏”として産声をあげて生まれた。
両親、兄弟はなく、難行苦行を重ねて高野山の権大僧正にまでのぼった」「私の霊感は100%当たる」
「皇室とも交際があり、宮内庁から祈願を頼まれたこともある」などの説法に、疑念もそらされた、という。

ところが大森さんが「秀吉と淀君にゆかりがある火鉢だ」などとA氏の言い値で買い受けていた骨董品を別の鑑定家に見せたところ、
230万円も出したのに、桃山時代のものらしいが、淀君が使ったというのはマユツバ。250万円の値打ちがあるはずの
京都・南禅寺の「書」3幅も相場では1幅3、40万円程度と鑑定され、A氏の言動に不信感を強めたという。
さらに信者等が独自に調べたところ、権大僧正のはずのA氏が46年ごろ高僧に弟子入りしている事実はあるものの、
単に僧籍を有しているだけで、僧侶名簿にも載っていなかったことがわかったいう。