ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

ゴッホを見ていると憂鬱になる。それはあの悲劇的な人生をあらかじめ
知っているからだけではなく、やはり狂人(=天才)だけに極度の躁鬱病
だったのだろう、気分の調子のいい時と悪い時の画の落差が激し過ぎて見
ていて疲れる。
今回最も印象に残ったのは日本初公開の「ポプラ林の中の二人」
画面中央に朦朧と霞んだ陽炎のような不気味な男女が立っていて、
一番奥の林の間に濃紺の闇が広がっているんだけど、これが
心霊写真のように怖い。
おまけにゴッホは観る人に対してご丁寧にその闇の奥へと続いていく
並木道まで描きこんでくれているので、ずっと観ていると吸い込
まれそうになる。で、描いた年がピストル自殺した1890年
だったのでああやっぱりなぁと納得した。
他にも日本人の近代のゴッホ信仰もよく理解できるし、
画も見ごたえのあるものが多いから最終日まであとわずかだけど、
行った方がいいですよ。8日まで