ブリューゲル展へ行ってきた。
その昔、「ブリューゲルへ旅」という本を、これは読んではいないがどこかで
手にあことがあり、その表紙がいかにも寂しそうな画だったことが、いまだに
強い印象で記憶に残っている。
さて、展覧会ではまず、ブリューゲルという人物がT世、息子、孫、ひ孫と、
4人も存在したことをはじめて知った。画は、ブリューゲルT世の風景画の、
川や湖や空を照らし出す光線の具合が、澄み切っていてキレイだった。鳥罠は、
一種名状し難い寂寥感が横溢しており、上のほうで誰かも言っていたが、
雪の降り積もる今の季節に見るのにぴったりの画だと思う。花瓶の花束
の画が並ぶ章では、その独特の妖艶な雰囲気を放つ画に向けて、多くの
女性たちがスマホをかざして写真を撮っていた。最後の「農民たちの踊り」
の章では、別の画家による「農民たちの婚礼」という4コマ漫画のような
連作も含めて、その姿が生き生きとユーモラスに描かれていて心をうった。