静嘉堂文庫美術館「歌川国貞展」

これがなかなか見ごたえのある、というよりも圧巻の展覧会でしたよ。
まず第一に、錦絵の状態がほとんど当時のままではないかと思えるくらい
非常に良いため、色彩が鮮烈かつ豪華けんらんで作品が立体的に目に飛び
込んできますね。次になんと言っても解説がいい。おかげで錦絵の背景や
物語を理解するためのうってつけの補助線となった。

特に、画題のほとんどが花魁であったこともあり当時の女性の艶っぽさや
色香が如実に伝わって来たし、また女性のふとした表情や仕草など、よく
まあこういう場面を切り取ったものだなと感嘆することしきりだった。

全く関係の無い余談だけど、初老のフランス人夫妻が来ていて、ゴッホ
やゴーギャンに影響を与えたジャポニズムは言うまでも無く、ヨーロ
ッパの人たちは浮世絵が大好きなんだなあとあらためて感心し、ああそう
いえば北野武の映画もフランスやイタリアを中心にヨーロッパで大うけ
したが、何か共通点でもあるのだろうかとふと思ったんだけど、やはり
キタノブルーと呼ばれる青い色彩感覚ですかね。だとすると浮世絵が
当地の画家たちに与えた影響は大胆な表現法や造形性だから、やっぱ
関係ねえかーなどとあれこれ考えをめぐらせながら、長い坂道を帰路
につきました。

ともあれ、行きと帰りの満員の東急バスを乗り継いでも、美術館まで続く
長い長い坂道を呻吟しながら歩いてでも、行く価値のある展覧会でしたね。
おススメです。