サントリー美術館 寛永の雅展

小堀遠州と野々村仁清、狩野探幽が中心に展示されている。
小堀遠州が所持していた、あるいは関連する茶碗や茶入れがたくさんあったが、
特に面白かったのがオランダに発注して作らせた「和蘭半筒茶碗」だった。
約400年前の茶道の世界で、ヨーロッパ製の茶碗を利用する遠州の融通
無碍さ、柔軟さ、自由さに感心した。
野々村仁清に関しては、陶芸界の大御所加藤唐九郎が「技巧は素晴らしい
がオカマと共通するところがあって嫌だ、きれいで上手だが実に嫌なきれい
さだ」と評しているが、至言だと思った。極めて巧緻で色彩豊かなのだが、
確かにそのような雰囲気が漂っている。
探幽は、いつもの通り概して退屈な画が多かったが、一つだけ「鳳凰図屏風」
が際立って光っていた。ひょっとして若冲も見たことあるのかな、などと
想像力をかきたてるいい屏風だった。
全体的に茶道家や茶を習っている人、それから特に茶ババ(美術館にわざわざ
着物を着てきて「よろしゅうございますわねえオホホホ」などと言っているオバ
ハンら)が喜びそうな展覧会だった。悪くは無いがまあまあか。個人的な欲を
言えば、いずれ遠州か仁清単独の展覧会をやって欲しい。その方が単刀直入で
理解が早いだろうから。