東京国立近代美術館の「横山大観展」に行ってきた。
「君の絵は気の利いた様な間の抜けた様な趣があって、大変巧みな手際を
見せると同時に、変に無粋な無頼者の所も備えている。君の画に見る脱俗
の気は高士禅僧のそれとは違ってもっと平民的に呑気なものである」と、
これは夏目漱石による大観評だけど、いやあ凄いな文豪、見事に大観の本質
をついているのでこれ以上書くこと無いや。
個人的な感想だけ。80数年ぶりに発見されたという「白衣観音」の学芸員による
解説が、デッサンの不得手さが表れているだの岩のびょう法が下手だの、主観で
まくりなのが面白かった。個人的には大観の大観による最も大観らしい画だと思うけどね。
他には「夕顔」とか大観にしては珍しく妖艶な画もあった。それから大観は皇室関係になると
がぜんやる気をだすのか「朝陽霊峯」など凄い迫力があった。おまけにデカイ。他にはやは
り目玉の「生々流転」か。これ40メートル以上もあるって、こんなの誰も真似できないよなあ。
後者二つを見た後、大好きな川合玉堂の「行く春」の屏風を見たら、正直これが小さく見えたよ。
大観は朦朧体だけではなく、描線の一方をぼかす「片ぼかし」や、紙の裏から金箔を押し出
す技法や、花の周囲をその色と同じ色で薄くぼかして柔らかい情趣を漂わせるやり方とか、
新しい技法をどんどん試みたチャレンジャーだったということをあらかじめ知ってからこの展覧
会に行ったので、これまでの「伝統主義者、東洋精神主義者」の横山大観というイメージが一新
されるいい機会になったよ。後期も絶対に行く。