・10 世紀末に今様が貴族に知られていたことは、『枕草子』の記述から間違いない。
 「長くて癖がある」と、よい評価は与えられていない。
・『紫式部日記』1008 年 8 月 20 日過ぎの条に、道長の邸で、出産をひかえた彰子を慰めるために、管弦の未熟な若い貴族たちが今様を歌ったとある。
 「彰子の気晴らしにはよい (下手な演奏を聞かされるよりまし)」とされている。
>>96 に示したとおり、11 世紀末には殿上でも今様が歌われている。
『吉野吉水院楽書』の記述と特に矛盾する所はない。
『楽書』の記述を疑い、実際にはそれよりずっと前から今様は一般的だったとする主張は聞かない。
直接見聞きした人のいない伝承だからといって、不正確とは限らない。