>>63
これだね。ちょっと長くなるけど該当部分を引用してみる。

>譬えば麦を作ってこれを粉にするには、天然の石と石とをもってこれを搗砕きしことならん。
>その後或人の工夫にて二の石を円く平たき形に作り、その中心に小さき孔を堀りて、
>一の石の孔に木か金の心棒をさし、この石を下に据えてその上に一の石を重ね、
>下の石の心棒を上の石の孔にはめ、この石と石との間に麦を入れて上の石を廻わし、
>その石の重さにて麦を粉にする趣向を設けたることならん。即ちこれ挽碓なり。
(『学問のすすめ』九篇)

果たしてこの文章では、福沢が「挽」の字に『車輪が地面を押しつぶしてる様』や
『廻すもの』といったニュアンスを込めて用いたかどうかは、残念ながら判然としない。
ただ一つ言えるのは「挽」という字そのものの意味は『強く引っ張る』であって、
『押しつぶす』『廻す』といった意味はなく、「ひく」という和語に当てはめることで
(おそらく挽碓からの逆成で)はじめて『挽き潰す』という意味が生じるということだ。

「車挽き」の場合は、この車がロードローラーでない限りは『車輪が地面を押しつぶしてる様』に
焦点をあてて表現する必然は無いし、そもそも挽碓とは磨り潰すのに使う面が全く違うから、
ここは素直に車を『強く引っ張る』者、という事だろう。