文章の標準
文章は談話と同じく意味が判れば宜しく,あまり窮屈な規則ずくめにすべきでない。
以上の文法は主に造語についてのものであり,造語法としては他にも重要な多数の規準があるから,
その最も重要な連結語の規定だけを巻頭に掲げ,その他の造語規定は特殊な人だけに必要だろうから,『世界語学論』に詳しく述べることとする。
それにしても文章と談話には標準となるものがなければならぬ。
およそ作文は主語となる名詞か代名詞で始め,それに補足語か数詞かがあれば主語の前につける。
主語の次は動詞だが,副詞の役をする補足語があれば動詞の前につける。
この場合に補足語が主語を形容するかも知れないと誤解される恐があれば,その補足語にwを接尾して副詞の役であることを明かにする。
また動詞に目的語があれば,いわゆる他動詞となっているから,その目的語を動詞の後に続ける。
なお目的語を形容する補足語があれば,目的語の前につける。
文章の標準はこれほど簡単で宜しいであろう。
しかし様々な文章には,前置接続調や関係代名詞で誘導される幾つかの句などが重なりあい,なかなか複雑である。
そうした複雑な作文と談話に役立つよう,ボアーボムでは前置接続詞のなかに「てにをは」に相当するものを造語してあるから,関連の語詞に後続させず前置して,臨機応変に利用し煩雑を避けられたい。
けっきょく作文と談話は手本となる文例に倣うしかなく世界語の達人が輩出して続々と立派な文例を多数に発表されたいものである。