>>286
>語頭のu、語末のiが消滅している
「沖縄語辞典」にはNzjari=juN(0)「乱れる」(<*midare-),Nsu(0)「味噌」(<*miso),
Nzu,NNzu(0)「溝」(<*mizo)などの例がある。(語頭のiの例)
また少数ながらcjiN(0)「衣」(<*kinu),ʔiN(0)「犬」(<*inu)なども見られる。(語末のuの例,極稀)
トマ論文中でも八重山のpiŋ「蒜」(<*peru)は語末のuの消失に見える。

>子音なしか有声音のものが消滅している
「沖縄語辞典」にはQcju(1)「人」(<*pito),cjui(0)「一人」(<*pitori)などの例がある。
トマ論文中でも大神のffuɯ,与那国のtsʔuɾi「薬」(<*kusori)は無声子音の後の母音の消滅に見える。

>てルールかもしれない。消滅の方は規則的に見えるけど、eo高舌化はどうか・・・
「eo高舌化」が琉球語に起きたものを指すなら,当然論文で扱っている範囲の語や方言では起きている。

言うまでもなく,北琉球祖語,あるいは南琉球祖語の段階では母音の消滅は起きていない。
ましてや琉球祖語の段階で母音の消滅があったわけではない。

ちなみに一例として「沖縄語辞典」の首里方言を挙げただけで,奄美の諸鈍方言のようなかなり特殊なものを
持ち出さずとも「ルール」以外の環境の消滅例はいくらでもある。
>>390氏はトマ論文中の語例から「ルール」を導いただけで,この環境下でしか消滅は起こらないと言っているわけではないと思いますが。)

(「沖縄語辞典」の表記を一部変更)