>>320

>って思ったけど昼(p`r`:八重山)の語頭とか臼(us:宮古)の語末も消滅してるか。
>単にmVはN、pVはp`、sVはs`になるだけだな(`は摩擦母音の転写)
少し気になる書き方。
前スレの>>929,>>930の方がまとめているように,奄美の一部で*i>i, *e>ɨ,宮古・八重山で*i>ɿ, *e>iという規則的な変化がある。
母音の消滅がどういう環境で起きやすいか通方言的に見るのも重要だが,まずは各方言でどういう変化があったのかを考慮しないと
議論がおぼつかないものになってしまう。(例えば,宮古・八重山の*i>ɿの中でni>†nɿとはなっていない点など。)

>いやそれはどうか。琉球祖語で消滅したuと消滅してないuがあるからこそ、*uと*oが峻別できるんで
>*oがuに高舌化する前には母音消滅があったはず・・・
ここに恐らく齟齬があると思うので確認。
琉球諸語で通方言的に高舌化が起きているのはその通りだが,変化の実態は方言ごとに異なる。
北琉球祖語の段階では母音の脱落がまだ起きていないからこそ「向かい」と「百足」で奄美の坂嶺にmuが現れるし(†mkai, †mkade),
「馬」で与論にuが現れる(†ʔma)。また南琉球祖語で「海」が*omまたは*umであったら,石垣のumɿの母音が何故現れるのか。
当然,琉球祖語の段階でもし母音が落ちていたら坂嶺や与論,石垣の語形を説明できない。
各方言で並行的に類似した環境の母音が脱落したと見るべきで,共通改新(shared innovation)ではなく平行変化と言える。

>これって語中ではC[舌音]uriがC[舌音]iriになるって変化なのかな。C`の代わりに
首里では*su, *zu, *tu, *duがそれぞれs(j)i, z(j)i, c(j)i, z(j)iとなる。士族は非口蓋化音で*si, *zi, *ti, *di由来の口蓋化音との区別があるが,
平民式発音では合流する。北琉球では奄美大島を中心に両者の区別が見られるが,南琉球のほとんどの方言では合流している(北琉球でも多く合流)。