「鯨」類が立てられるかどうかは琉球祖語のアクセント体系の再建において重要なテーマのひとつだが,私は上野がすでに言及しているように
これらの2拍目は音声的に弱い,すなわち「核」を担いにくいため,2拍目に核を持つと再建されるC類の「核」が1拍目にずれたと解釈する。
(しかし、「油」は3bであることに注意)という上野の指摘は,3cから3dが分かれたとする私の立場からすれば問題ない。
「音声的に弱い」とは,特殊拍相当のもの,*gudira>guNza,*musiro>mussuのように特殊拍化し得るもの,あるいは○狭広のように核を担いにくいもの(本土方言でも類例あり)となる。
核の性質については,昇り核であれば3拍目にずれる例が多いので(青森市で油3,涙3などの2→3が該当。ただし青森市では心3,簾3のように○広広でもずれる)
東京のように下げ核だったかもしれないなど考えるべき点があるが,いずれにせよ2→1という左方向へのずれが生じたと見る。
説明不足であったのは否めないが,341でも「音韻条件をもとに」と書いているし,(ずれない語も挙げないと意味はなかったが)語例も挙げて検討できるように配慮したつもりでいる。
(ちなみに341で「箒」を*pawakiと再建したのはミス。諸方言の対応を見るに*paukiとすべきで,九州方言を意識しすぎて適当な再建をしてしまった。)
多くの方言で「鯨」類がC系列に当たるのも,もともと同一系列だからと見る(だから多くの方言では分裂自体想定する必要なし)。
従って琉球祖語にはA系列,B系列,C系列の対立のみを立てる(N+1とは見ない)というのが私の立場。
2ch文化として仕方ないのかもしれないが,「褒められた態度ではない」「金田一の斜め下に劣化してる」とレッテルを貼るだけではなく,できれば反例を挙げるなど建設的な形の反論をしてほしい。
これが「つまらない茶々」ならなおさら返すのが空しい。