>>377
ついに内容面での問題点が指摘されてしまいましたね。
>>374の疑問はすでに>>375で解決済みと見ます。)
表にしてくれたものは,細部は私の見立てと少し異なりますが,基本的には同意します。
すると,2.3Cはどうしても入りません。
下記のトマ論文のように,琉球アクセント研究者は,この2.3Cを少数の例外と見る傾向があります。
http://www.academia.edu/2374529/_
恐らく誰も明言はしていませんが,皆さん内心では私と同様の仮説を立てているために,邪魔物の3Cを
「例外」としたいという思惑が働いているのではないかと勘ぐっています。
これが少数で留まってくれればそのような強弁も可能ですが,実は類別語彙以外にも目を向けると,
3C相当の語がちらほら出てきます(タゴ《桶》,タル《樽》,クシ《串》[2類],コブ《瘤》(?),…)。
現時点では3つの道があると思います。
1. 他のC系列(5C?)から2.3への個別的変化,あるいは琉球で例外的にC系列化したと見なす。
2. C系列に対応する型から何とか本土で2.3に変化する道を探す。
3. 潔く負けを認める。現実は非情である。

1.は分布などに微証が無い限りすすめられないし,3.は最後に取っておきたいので,ここでは2.について考えたい。
2つの型を占めている5Cから1つを拝借する。有標性から*RFを2.3Cの祖形とする。
3B LL = LL
4B LH = LH 5B LF = LF
4C RH > LH 5C RL > LF
と合流しない変化が想定できるか。*RFは極度の曲折調のため,実現が不完全になり山が低めでかつ下降も弱かったとすれば,
3C RF > LMf > LL(?)
と変化し得たかもしれない。ちなみに私は*LL, *LLLなども実際は最後が少し高い*LM, *LLMだったと見る(朝鮮語に類例あり)。
そのようにして4Bなど他の型とは合流せずに本土では3Cになったとしたいが,これはなお検討を要する。

>>378
西南九州が鎌倉期というのは,語頭の去声が低起群と対応するからでしょうか。去声>上声は14世紀の文献まで見られないのですか?
そもそも琉球のアクセントを院政期京都から分かれたと見る人は,類別に対する系列のずれは例外と見なすのでしょうから,
日琉祖語アクセント体系の再建は,現実にあり得たという理論武装にはなっても,それを認めない人の説得はできないと思います。