上代の日本語がやや孤立語的な性格を帯びる原因を、異質な言語との接触に求める意見が多いが、
接触した相手は同じ日本語族でもかまわないのではないかと思う。
古英語が古ノルド語に接触して屈折が壊れたときのような状況を想定してみる。

まず、弥生時代の始まりとともに九州で日琉祖語が誕生し、関東にまで広がった。
弥生時代を通じて、基礎語彙や膠着語としての基本的な枠組は保たれたが、
助詞や活用語尾の具体的な形については著しく方言差が広まった。

古墳時代に入って、政治的な統一とともに方言差は縮小を始めた。
しかし大和盆地の方言はなかなか中央語としての権威を確立できず、周囲の方言に振り回され続けた。
その結果、助詞や活用・派生は衰退し、あるいは様々なの方言のものが混在するようになった。

中央語の権威が確立すると、日本語は膠着語らしさを取り戻し始めた。
格の概念は一新されて、それに合わせて新しい格助詞が産声を上げた。
古い文法の一部は、係り結びやミ語法として文献時代まで生き延びたが、結局は廃れた。
生まれ変わった日本語は全国に強い影響を与え、文献に残る上代東国方言も既に大きく変質していた。

根拠は特にない。チラ裏すまん。