don't+動詞のdoや疑問文を作るdoはいわば動詞の「分身」として分離したものだ

様々な動詞にnotを接尾させたり(短縮形ができてからはどんな動詞にも-n'tが付くことになる)、
動詞とyouとの倒置疑問文を作ったりというそれまでの方式をやめ、
文法的要素を語彙的要素である動詞本体から取り外し、動詞をより「開かれた」類として自由にした

過去要素や三単現要素がdoと一緒に動くのも、文法要素を分離したdoに肩代わりさせている証拠
be動詞だけが過去の疑問文の作り方を踏襲しているのも、beがそれだけ文法的な動詞だから

肯定平叙文における動詞の前に置かれ「強調」を表すとされるdoはこのdon'tからの類推で生じた
いわば「否定の否定」として肯定の強調に用いられたのが始まり
必要のない所に置かれたのだから「強調」という解釈が生じたに過ぎない