>>158
それは19世紀中頃にフィンランド人カストレンがツラニズムの元になる考えを創唱したから
ほぼ同時期に学術的な立場からウラル・アルタイ語族説が生まれ、インド・ヨーロッパ祖語とそれを話したアーリア人、
という仮説に対抗するようにウラル・アルタイ祖語を話したツラン人というものが想定された

その後20世紀にケマル革命が起こったトルコで、脱イスラム的なチュルク民族主義がツラニズムを利用した
そこではユーラシア内陸部のチュルク系諸民族を特別に「兄弟」視するとともに
フィンランド語やハンガリー語もトルコ語に似ているという通念だけがトルコで広まった
(日本語や朝鮮語もウラル・アルタイ語族に入るというその後の仮説はトルコに伝わらなかったのか)

たしかにウラル語族は名詞に後置される格接尾辞や母音調和などトルコ語に似た面もあるが
チュルク・モンゴル・ツングースの言語の大多数に共通するSOVの語順はあまり厳格ではないし
動詞に主語と目的語両方の接辞を取り込む構造などは印欧語にもアルタイ諸言語にもセム語にもなく
むしろバスク語やコーカサス語やアイヌ語、古アジア諸語やアメリカ先住民語などに共通する古い特徴だ